NISAの売り時はいつ?

NISA制度の登場により、投資が身近な存在になりました。

投資商品は購入するだけで終わりではなく、売却時期を考えて『利益確定』をする必要があります。

原則として、投資商品は長く所有しておくほど売却時の利益を大きくできる可能性が高いです。

特にNISAでは非課税で商品を保有できる期間が設定されており、値段が少し上がったからといって期間中の早い段階で売却してしまうのはもったいないです。

今回は、NISAで購入した商品をどのタイミングで売却するべきかを考えていきましょう。

NISAの仕組みについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

目次

NISA投資売却の前に押さえておきたい点

NISAの非課税期間について

投資商品には値動きの変動や暴落の時期がありますが世界経済は基本成長していくため、長い目で見れば購入額よりも価値が高くなります。

NISAでは自動再投資型の商品が多く設定されており、投資商品を保有しておく時間が長ければ長いほど利益が大きくなる可能性が高くなるのです。

しかし、NISAで購入した商品には非課税で保有できる期間が設定されているため、非課税期間中に商品を売り切らなければ無駄に税金を取られてしまうのではないか、と焦ってしまいますよね。

ここで改めてNISAの非課税期間について解説していきます。

非課税期間が終了した後の売却にかかる税金は、購入時の価格に対してではなく課税口座に移管した際の時価によって決まります。

つまり、非課税期間中の値上がりについては課税の心配をしなくて良いので、期間中に無理して売却をする必要はありません。

出典:金融庁『NISAのポイント』

実際に非課税期間終了後に投資を売却するイメージをしてみましょう。

ここでは、上のグラフのように120万円分の投資が170万円まで価値が上がったタイミングで売却すると仮定します。

シミュレーション① 

通常の課税口座では…

170万円(売却額)-120万円(元本)=50万円(売却益)

売却益50万円から20%を差し引いた10万円が課税額。(元金からの総利益60万円)


NISAの場合…

120万円分投資→課税口座移管時に150万円に値上がり

170万(売却額)ー150万(移管時の時価)=20万円(売却益)

売却益20万円から20%を差し引いた4万円が課税額 (元金からの総利益66万円)

一般NISA、つみたてNISAにはそれぞれ5年、20年という非課税期間が設けられていますが、その売却タイミングは任意で、非課税期間終了後も商品を保有し続けることもできます。

このことから、課税口座に移管される前に慌てて売却する必要はないと言えます。

非課税期間終了時、元本よりも減額してしまっている場合は要注意!

上記にて、NISAの非課税期間終了後は課税口座に移管されたときの時価からの利益に応じて税金が計算されるということを説明してきました。

では、課税口座移管時の時価が投資元本よりも下がってしまっている場合にはどうなるのでしょうか。

なんと、NISAを利用するよりも通常の課税口座で投資をしていた方が得をしてしまうことになってしまいます。

出典:金融庁『NISAのポイント』

実際に非課税期間終了時に商品が値下がりしていた場合を見てみましょう。

再び120万円分の投資をすると仮定して、今度は130万円まで投資が値上がりしたとします。

シミュレーション② 

通常の課税口座では…

130万(売却額)-120万(元本)=10万円(売却益)

売却益10万円から20%を差し引いた2万円の課税額(元金からの総利益8万円)


NISAの場合…

120万円分投資→課税口座移管時に100万円に値下がり

130万(売却額)ー100万(移管時の時価)=30万円(売却益)

売却益30万円から20%を差し引いた6万円が課税額 (元金からの総利益4万円)

10万円の値上がりのうち6万円も課税されてしまう!

このように、課税口座に移管する際の時価が元本よりも低い場合は通常の課税口座よりも損をしてしまい、上記の例のように利益に対して課税額の方が多くなってしまうこともあります。

非課税期間終了後に売却を行いたい場合においては、投資の元本価格と課税口座に移管したときの時価を必ず再確認しておきましょう。

NISAでは『損益通算』ができない

損益通算とは、一定の所得で発生した損失を他の所得の利益と相殺することです。

通常の証券投資であれば、金融商品の売却で得た利益によって税金がかかる一方で、損失が生じた場合はその分だけの税金を差し引くことができます。

これによって支払う税金が少なくなるため、多くの投資家がこの手法を利用しています。

しかし、NISAの場合は損益通算を行うことができません。

資産の売却で生じた損失のことを譲渡損失と呼びますが、NISAでは、商品を課税口座に移管した時点での保有金額が“購入額”とみなされるため、譲渡損失が存在しません。

例えば、100万円で投資商品を購入して、課税口座に移管した際に90万円になっていたとすれば、『90万円で購入した』とみなされてしまうのです。

したがって、売買損失が発生しても、その他の所得で得た利益との損益通算はできません。

NISAで購入した投資商品を課税口座に移管する場合は、これらの点に特に注意しておきましょう!

NISA投資はいつ売却するべき?

上記の注意を踏まえて、NISA投資をいつ売却するべきか考えていきましょう。

一般NISAとつみたてNISAでは非課税期間の長さが大きく異なっていますが、どちらも、基本的には非課税期間をフルに使い切ることをおすすめします。

では、2つのNISAそれぞれにおける最適な売却タイミングを考えていきましょう。

一般NISAの売却時期

非課税期間内に売却したい場合

一般NISAの商品は非課税期間が5年と短いため、大きな値上がりをしていない可能性が高いです。

しかし、非課税期間が終了する前に保有している金融商品を手放すことができれば、確定申告等を行う必要がなくなります。

税金による面倒事を避けたい場合は、5年で売却してしまったほうが良いでしょう。

5年以内の短期間で売却を行うならば…

  • あらかじめ投資の目的金額を設定しておく
  • 商品の長期的な値上がりを期待することができなくなった場合に売却する
  • 価格の下落ラインを決めておいて暴落してしまう前に売却する

このような戦略を立てることができます。

とはいえ、非課税期間がまだ数年残っている状態で焦って売ってしまわないようにしましょう。

売却する際は…

NISAでは、投資商品の売却を行う際に投資した年度自体の指定をすることができません。

その代わり、商品の売却する口数の指定を行うことができます。

投資商品の売却は最も古い買付から行われるように設定されています。

これによって、最も古い年度に投資した口数を指定して売却を行うことでその年度分の投資を売却することができます。

また、投資から5年が過ぎたタイミングで値段が下がってしまっている場合は、『ロールオーバー』を行うことで非課税期間を更に5年間延長し、商品の値段回復を待つことができます。

ロールオーバーの期間内であれば税金をかけることなく商品を売却できます。ロールオーバーは、2024年以降にスタートする“新NISA”では利用することができないので注意が必要です。

新NISAについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

非課税期間終了後に売却したい場合

一般NISAでは5年間という短い期間のため、非課税期間が終了する時に商品が元本よりも値下がりしてしまっている場合や今後の成長を見越したい場合など、商品を引き続き持ち続けておきたいケースが発生すると思います。

非課税期間終了時に保有している商品は通常の課税口座に移管することで持ち続けることができます。

ただし、非課税期間終了後の利益分の配当金(株式)、分配金(投資信託)、売却益にはそれぞれ税金が課されます。

商品を売却する際は、課税口座へ移管した際の時価からの値動きを慎重に確認しておきましょう。

つみたてNISAの売却時期

つみたてNISAには20年という長い時期の非課税期間があるため、特に短期間で手放してしまうともったいないです。

もしも、数年前よりも相場が高くなっているからという理由だけで売却すると、10年以上の非課税で利益が上がるチャンスを失うことになってしまいます。

そのため、つみたてNISAでは基本的には20年間投資を寝かせておくことになります。

ここからは、つみたてNISAで購入した商品の売却タイミングを考えていきましょう。

非課税期間中に売却をする場合

原則的に、つみたてNISAでは投資を20年間寝かせておく形になりますが、もちろん途中で売却を行うこともできます。どのような際に売却するべきなのかを考えていきましょう。

まずは、急激に大きな資金が必要になった場合に引き落とす感覚で売却をしていくというやり方です。

本来であれば、予想外の病気や大怪我、事故などといった場面で手持ちの貯金ではどうしても賄えない時のための資金を確保するために投資でお金を増やしているのです。

そのような不測の事態には無理をして借金などをすることはやめて投資を切り崩しましょう。

また、子供の入学金などの大きなお金が必要な年を想定できる場合もあると思います。

このような場合は、その数年前から値動きをチェックしておき、良いタイミングで売却を行えるように備えておくことも良いでしょう。

また、商品を売却する際は、積立て買付を行うときと同じように、複数回に分けて売却を行うことで、売却価格の値動きのリスクを抑えることができます。

もちろん、20年間の非課税期間で成長する資産を早い段階で売却してしまうのはもったいないので、原則的には非課税期間終了時まで売却しないことを心がけてください。

非課税期間が終わった後の対応

今度は、20年間の運用後はどのようにしていくべきかを考えていきまましょう。

つみたてNISAでは投資期間が長期のため、積立を開始する年齢によって20年後の計画は変わってきます。

20代、30代の若い世代であれば老後までの時間が長いため、引き続き新規投資を続けながら、投資開始年度の非課税期間が終わった後も課税口座に移管して運用を続けることができます。

40代、50代から積立を開始する場合は、非課税期間終了時か期間終盤から現金化を進めていっても良いでしょう。

また、一般NISAと同様に保有する年ごとの売却指定をすることはできないため、口数を指定していくことになります。

先の説明にもある通り、なるべく複数回に分けて売却を行うことで売却価格を安定させましょう。

NISA投資の売却で重要な3つの要素

今回はNISAの売却時期について考えてきました。

  • 非課税期間の早い段階では売却しない
  • 非課税期間中の商品の値上がりには課税されないので期間中に無理して売却する必要はない
  • 売却を行うときは複数回に分けることで値動きのリスクを抑える

この3点をおさえておきましょう。

2つのNISA共通して、基本的には非課税期間が終わるまで保有しておくことをおすすめします。

一時的に損失が出ると焦ってしまいがちですが、非課税期間が残っているうちに含み損の状態で現金化することはないようにしましょう。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる