【メタバースの行く末】『オープン』と『クローズド』の違い 世界がディストピアへと向かうかの分かれ道

次世代のSNSと呼ばれるメタバース(metaverse)。

どのような仮想空間が繰り広げられるのか、そしてどの企業がメタバースの覇権を握ることになるのかはまだ誰にも予想ができません。

もし1社のメタバースが行き過ぎた発展を遂げれば、待ち受けているのはディストピア(暗黒郷)の未来か……。

今回は、これからのメタバースの発展に伴って重要になってくる2つの指標である『オープン』と『クローズド』という二つのタイプのメタバースについて、その概要を解説していきます。

メタバースの概要について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

目次

各社がそれぞれの仮想空間を作ることは『完全なメタバース』とはいえない

2021年現在、様々な企業がメタバース事業に参入をしています。

やはり注目すべきは、社名を変更して本気で覇権を狙いにいくMeta(元フェイスブック)社。

2021年8月には、利用者がどこにいても同じワークスペースで仕事ができるサービス“Horizon Workrooms”を発表し、これからのメタバースをけん引していく姿勢を見せました。

ゲーム業界では、累計ユーザー3億5000万を突破したフォートナイトを運営するEpic Gamesや、現在アメリカの小中学生の半数以上がすでにユーザーとなっているゲーム、ロブロックスを開発するRobloxなどが主要な企業です。

しかしこれらのサービスは、各社がそれぞれ独立したサービスで他のサービスとの連携をしていないため、プラットフォーム間で障壁があります。

本当の意味でのメタバースでは、人々が『一つ』の世界に同期して経済活動を行うことができるということにあるので、これでは完全なメタバースが成立していないと言えます。

メタバースが完全なものとして発展していくには世界中の多くの人々を同じ空間に滞在させる必要があります。

ここで重要となってくるのが、その空間を一つの大企業が作り上げるのか、あるいは複数の企業が連携しながら構成をするかです。

この二つの考え方を踏まえて、それぞれのタイプのメタバースを見ていきます。

オープンメタバース(Open Metaverse)

オープンメタバースでは、複数のプラットフォームが作る仮想世界を障壁なく行き来することができるという相互運用性がコンセプトになっています。

一つの企業や組織にコントロールされず、複数の連携されたプラットフォームを自由に行き来できるようになることは、現在のインターネットの延長線上にあるとも言えます。

現在、オープンメタバースの考えを示すのはフォートナイトを手掛けるEpic Games社。

Epic Games社のCEOであるティム・スウィーニーは、メタバースの世界を自社開発のみで完結させない姿勢を見せています。

彼の考えとして、例えばフォートナイトのゲームアイテムやアバターをマインクラフトなどの別のゲームにも応用できるようにすることを目指しています。

また、フォートナイトを含むゲームの開発を行った自社製エンジンである『Unreal engine』を一般の開発者向けに展開し、そこで作られたゲームを自社のゲームストア(Epic Games Store)以外へ出品することも認めています。

このような開放的な姿勢から、将来的にはオープンメタバース事業の中心核を作り上げていると言われています。

クローズドメタバース (Closed Metaverse)

一方でクローズドメタバースは、一つの大きな企業がメタバースを独占している状態です。

世界中の人々を一つのサービスに集めることが実現すると、プラットフォームとして莫大なの利益を上げることが予想されます。

しかし、一つの会社がサービスをコントロールすることで、その会社はもはや国家よりも大きな権力を持つことになり、独裁者のように世界を支配してしまうという危険性も指摘されています。

映画『レディ・プレイヤー1』の世界では、このクローズドメタバースによって人々が“洗脳”されているかのように射幸心を煽る仮想世界『オアシス』に熱狂する姿が見られました。

荒廃した未来の世界で人々は仮想世界の虜になる 画像引用:映画『レディ・プレイヤー1

現在、クローズドメタバースの考えに近い姿勢を見せるのはRoblox社。

ロブロックスは今や世界で最も人気のあるゲームの一つですが、若年層を“搾取”していることが問題視されています。

このゲームは、ユーザーがゲーム内にオリジナルゲームを開発・公開できるという点が特徴的です。

そのほとんどのゲームが未成年の子供によって開発されていますが、そこで発生した収益はわずか25%ほどしか開発者に支払われていないという問題があります。

さらに、ロブロックスには『Robux』というゲーム内通貨があり、ゲームの開発収益はRobuxを通して払われるという仕組みになっています。

しかしRobuxは、最低でも10万Robux(約11万円)を稼がなければ現金化できず、また、引き出しには月額5ドルのサブスクリプションに入ることが必須となります。

この厳しい独立通貨制度により、ユーザーはRobuxを引き出しにくくなり、結果としてゲーム内で通貨を消費(アバターや武器などの装備と交換)させる仕組みになっていると考えられます。

Roblox社は、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOのようなオープンなメタバースの創生を目指す姿勢を見せず、あくまで自社製のメタバースでたくさんのユーザーを囲い込むクローズドな考え方が見受けられます。

メタバースに支配されてしまうのか

フェイスブックは10月28日に開催された 『Connect 2021』で社名をMetaに変更すると発表しました。

フェイスブックは、大手テック企業であるGAFAM(Google Amazon Facebook Apple Microsoft)の中で唯一アプリ・ソフトウェアのみのビジネスに踏みとどまっていました。

しかし、メタバースの領域では、傘下のOculusのヘッドセットをはじめとしたハードウェアの開発にも力を注いでいます。

これまでのフェイスブックの企業体制を考慮すると、他の競合プラットフォームと協調することなく、買収・合併をして独自のプラットフォームに落とし込もうとしている姿勢から、クローズドメタバースの考え方でビジネスを展開していくと考えられます。

フェイスブックは、過去に人々の精神に悪影響を及ぼすことを知っておきながら、ユーザーの滞在時間を長くするためのアルゴリズムを強化し、利益を優先させてきたということが判明しており、批判を浴びています。

今回の社名変更にはメタバースへの注力だけでなく、そのネガティブなイメージを刷新することの意味も込められてそうです。

メタ社が大規模な企業戦略を示したことで、メタバース業界の戦力図のトップに躍り出たように見えますが、まだどのサービスが将来のメタバースの中心的存在になるかはわかりません。

今回は、オープンメタバースとクローズドメタバースの違いについて解説してきました。

近い将来メタバースがSNSの後継として機能するようになるとすれば、一つのプラットフォームが市場を独占すると、独裁的なメタバースを生んでしまう危険性があるため、ある程度複数のプラットフォームによる管理で権力の分散をすることが必要になってくるでしょう。

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