都会の街を歩けば様々な場所で目にする、看板広告の数々。
看板は多くの人々から注目を集め、集客の向上や企業イメージのアップを図ることができます。
しかし当然ですが、街中に看板を設置するには許可が必要になります。
街中に看板広告を設置するためには、事業の『屋外広告業の登録』を行うか、登録されている事業に看板の設置を依頼する必要があります。
今回は東京都内で『屋外広告業の登録』を行うための条件について解説していきます。
情報参照元 (2022年3月現在)
屋外広告物とは
看板をはじめとする屋外に設置する広告を『屋外広告物』と呼びます。
屋外広告物とは、常時又は一定の期間継続して、屋外で公衆にむけて表示される看板、広告塔、広告板、広告幕、はり紙・はり札などのことを指します。
上画像のほか、車体広告(ラッピングバス等)や標識利用広告(バス停、消火栓標識等)等も屋外広告物の対象です。
屋外広告物には、条例により様々な規制が設けられており、違反した場合は、簡易除却(はり紙等)の対象となったり、措置命令や罰則(罰金)等が適用される場合があります。
これは、看板落下などの危険防止や良好な景観を守るためであり、屋外広告物を設置するためには、『屋外広告業の登録』が義務付けられています。
看板を置くために必要な『屋外広告業の登録』
街中に看板広告を設置するためには、屋外広告業の登録をする、もしくは既に登録している屋外広告業に発注して設置してもらう必要があります。
また、高さが4メートルまたは1表示面積が10平方メートル以上の屋外広告物等については、下記いずれかの有資格者を管理者として置く必要があります。
- 屋外広告業の登録をした者
- 屋外広告士
- 一級建築士
- ネオン工事に係る特種電気工事資格者
看板の老朽化による落下事故を防ぐため、屋外広告物の広告主や所有者、管理者には広告物等の安全管理義務があります。
屋外広告登録業とは
屋外広告登録業とは、広告主から広告物の表示・設置に関する工事を請負い、屋外で公衆に表示することを「業」として行う法人または個人を言います。
営業所が東京都内でない場合でも、東京都内で広告物の表示・設置に関する工事等を行おうとする場合には、東京都の屋外広告登録が必要となります。
登録の有効期限は5年間で、有効期間満了後も、引き続き屋外広告業を営もうとする場合は、登録期間満了の30日前までに更新の手続きを行わなければなりません。
登録には手数料として10,000円、5年ごとの更新申請手数料が、5,000円必要になります。
登録を受けずに屋外広告業を営んだ場合、又は不正な手段により登録を受けた場合など、東京都屋外広告物条例又は規則に違反した者は、登録の取消し又は営業の停止、30万円以下の罰金、過料に処される場合があります。
屋外広告登録をするための条件
屋外広告登録をするためには事業に『業務主任者』を配置する必要があります。
業務主任者とは、営業所ごとに設置する、広告物の表示・設置に関する法令の規定の遵守やその他その営業所における業務を適正に運営するために必要な業務を行う人のことです。
業務主任者になるためには以下の3つの条件のいずれかを満たす必要があります。
- 都道府県、指定都市又は中核市が行う講習会の修了者
- 職業能力開発促進法の準則訓練(広告美術科)修了者、職業訓練指導員免許(広告美術科)所持者又は技能検定(広告美術仕上げ)合格者
- 屋外広告物法に規定する登録試験期機関が実施する試験に合格した屋外広告士(経過措置により有効とされる屋外広告士を含む。)
上記のいずれかの条件を満たせばよいということで、資格を取らなくても講習会を受けさえすれば屋外広告登録をすることは可能なようです。
一方で、広島県尾道市では、令和2年10月1日から一定年数・一定規模を超える危険度の高い屋外広告物について有資格者による安全点検が義務づけられています。
この『有資格者』には、講習会の修了によって屋外広告登録をした業務主任者が含まれておらず、屋外広告士、建築士、電気工事士、電気主任技術者のいずれかの資格を持っていなければなりません。
東京都都市整備局のホームページにはこの記述がありませんが、このような例があることから特に『屋外広告士』は看板を設置するにあたって持っておくことが強く推奨される資格だと言えます。
いずれにせよ、広告についての理解を深めたり、効果的な看板広告を設置するためには屋外広告士の資格は必要不可欠でしょう。
ここからは、屋外広告士の資格について解説していきます。
屋外広告士とは
屋外広告士とは、屋外広告物の製作・施工に関する必要な知識及び技術を有することを証明する国土交通大臣の認定資格のことです。
屋外広告業の営業所ごとに一定の要件を満たした者を置くことが義務づけられている業務主任者の資格要件の1つです。
屋外広告を設置するにあたっては、安全性や建築物の規定を守るための知識が必要になります。
施工などの技術面のみならず、屋外広告についての知識を相対的に併せ持つ屋外広告士は、規定に沿った広告制作には欠かせない存在なのです。
屋外広告士試験の概要・難易度
ここからは、屋外広告士試験の概要や難易度について解説していきます。受験資格等の条件は以下の通りとなっています。
受験資格 | 18歳以上で3年以上の広告物の制作、施工などの実務経験 (デザイン制作も含まれており、現場での実務経験がなくても受験が可能) |
資格試験料 | 17,824円(税込) |
年間試験回数 | 1回 |
試験時期等 | 申込期間:5月上旬~8月上旬 試験時期:10月下旬 合格発表:12月中旬 |
合格率 | 22.1%(2021年) |
試験内容 (学科試験) | 関係法規 設計・施工 広告デザイン (マークシート方式) |
試験内容 (実技試験) | 屋外広告物の設計またはデザインのどちらかを選択 |
備考 | 1・2級建築士や1・2級建築施工・土木施工管理技士の資格を持っている方は、一部の試験科目が免除されます。 |
本試験の受験資格には、3年以上の実務経験とありますが、実務経験は広告施工に関連する業務である看板、ディスプレイなどの制作、設置のほか、デザイン制作などの事務的な業務経験も含まれているため、現場での実務経験がなくても受験は可能になります。
学科試験、実技試験ともに原則として60%以上の得点を得ることが合格条件になります。(ただし、平均点などの状況によって合格基準が試験委員会で決定される場合もあります。)
試験の合格率については、2020年次が47.6%と高めでしたが、翌年2021年は22.1%と大幅に減少。
例年の平均としての合格率は約25%となっているため、公式の問題集を活用してしっかりと勉強する必要があります。
屋外広告士のメリット
屋外広告士の資格を持つことで、屋外広告物に関する高度な知識と技術の証明をすることができます。
看板をはじめとした屋外広告物には様々な制限が設けられており、規制を正しく理解し効果的な広告を配置することのできる屋外広告士は、地域を問わず様々な企業から必要とされています。
この資格を持つことで、転職の際に有利になったり特別手当がもらえる可能性があります。
屋外広告に登録して看板を設置
今回は、街中に看板広告を設置するために必要な『屋外広告業の登録』と、そのために必要な資格のひとつである『屋外広告士』について解説してきました。
屋外広告には集客の拡大やブランディングなどの効果がありますが、設置するためには屋外広告業の登録、もしくは登録されている企業に設置の依頼をすることが義務付けられており、様々な制限を遵守しなければなりません。
そのため看板広告への専門的な知識・技術を持ちながら、安全性を備えた上で人々の目を引く広告を作ることのできる屋外広告士は様々な企業から必要とされています。
看板広告業に興味、または転職を考えている方は屋外広告士の資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
- レトロな街並みや音楽が好きな20代。読者の皆様に新しい発見をお届けしたいと思います。よろしくお願いします。
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