薬機法と広告 担当者が知っておかなければいけない内容

『薬機法』は薬広告業界・医療業界その他に身を置く人にとって、また消費者にとっても重要な法律です。

年々規制の強化や罰則の明文化も行われ、悪質な誘導広告や販売自体の取り締まりが行われています。

悪質な広告においては広告出稿主・代理業の広告担当者・制作会社など全てに責任が問われる可能性を含んでいます。

本記事ではそんな薬機法について広告担当者・クリエイターが知っておくべきことをまとめています。

目次

薬機法(旧)薬事法とは

薬機法とは、正式名称を『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』と言います。

従来は薬事法という名称でしたが2014年5月に法律が改訂され『薬機法』に改名されました。

具体的には医薬品・医療機器などの製造や販売・流通に関する規定や医薬品等の表示広告、薬局の開設に関する内容等を定めるものとなっています。

そのため、医療に携わる方は必ず把握しておくべき法律なのです。

厚生労働省の広告規制法について、薬事法の第66条から68条で以下のように規定されています。

下記記事66条から68条は厚生労働の広告規制法から引用しています。

66条 誇大広告等の禁止

何人も、医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布をしてはいけない。

医薬品等の効能・効果・性能について、医師その他の者が保証したと誤解されるような記事を広告・記述・流布してはいけない。

何人も、医薬品等に関して堕胎を暗示したり、わいせつな文書・図画を使用してはいけない。

67条 特定疾病用の医薬品の広告の制限

がんなど、政令で定める特殊疾病に使用される目的の医薬品で、医師・歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものは、政令で医薬品を指定し、その医薬品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限するなど、当該医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。

68条 承認前の医薬品等の広告の禁止

何人も、薬事法で定められた承認・認証を受けていない医薬品・医療機器について、その名称・製造方法・効能・効果・性能に関する広告をしてはいけない。

医薬品等に関するネット広告を出稿する時には、上記の規定を守った文章や画像を用いた広告を出稿しないと、Google Adwords・Yahoo! プロモーション広告などの媒体が行う審査に通過せず、広告を掲載することができません。

薬機法の目的

薬機法は医薬品や医療機器が人の健康や生死に直接関わるものなので、上記記載のように法律で細かく広告掲載の規定が決まっています。

それらの用途や効能について誤った認識を持ったまま使用してしまった場合、大きな健康被害や生死の危険にさらされる可能性があります。

このような理由から、細かな規定が定められているのです。

企業が『薬機法』に違反した時のリスク

上記でも説明しましたが、薬機法は法律で定められており、人の健康や生死に関わる事です。

医療に関わる広告を取り扱うのであれば必ず知っておかなければなりません。

せっかく魅力的な商品や医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器その他・健康食品などのビジネスモデルを持っていても、薬機法を知らなかったばかりに会社にとって大きなリスクを抱える事になり、罰則を科せられてしまいます。

そんな薬機法ですが、一体どのような罰則があるのでしょうか。

薬機法に違反した場合にどういった罰則やリスクがあるのかを説明していきます。

措置命令・中止命令

『措置命令』や『中止命名』が下されます。

規定に違反した事業者や法人に対して、厚生労働大臣または都道府県知事から、違反行為の中止や再発防止策を命じられます。

特に未認証の医薬品や医療機器を販売した場合は刑事処罰が下される事もあります。

課徴金が課せられる

2019年12月4日、厚生労働省により虚偽・誇大広告の違反を行った事業者や法人に対して課せられる『課徴金制度※』が新たに設けられ、2021年8月1日より執行されることが発表されました。

※課徴金制度とは『課徴金対象期間』に取引をした、違反行為に係る医薬品等の対価の合計額の 4.5%に相当する額を罰金として支払わなければなりません。
課徴金額が 225 万円(売上高 5000 万円)未満の場合には、課徴金納付命令は出されません。
『課徴金対象期間』とは、虚偽・誇大広告規制違反の行為をした期間を指します。

厚生労働省の下記PDFに詳しく記載されていますので、参考にしてください。

社会的信用が失われる

薬機法に背いた場合、社会的信用が失われてしまいます。

『薬機法』に基づく行政処分が行われた場合、企業としての信用やイメージも損なわれてしまい、商品販売の中止や回収というリスクも生じるでしょう。

消費者だけでなく、顧客や株主・メディア関係者などのステークホルダーの信頼も失われてしまうことをしっかり理解しておく事が重要です。

薬事法の規制対象に当てはまる商材

上記で薬機法は医薬品や医療器具などに関する法律だと説明してきましたが、一言に医薬品や医療器具といっても、様々な種類の商材があります。

それでは、具体的にはどのような商品を取り扱う際に薬事法が適用されるのでしょうか。

対象となる具体的な商材を下記の4つのカテゴリーに分けて挙げたので参考にしてください。

  • 医薬品・医療機器
  • 化粧品
  • 食品・健康食品
  • 健康器具

医薬品・医療機器

・医師が処方する薬
・薬局等で購入できるかぜ薬、胃腸薬、目薬などの市販薬
・制汗スプレー
・育毛剤
・除毛クリーム
・殺虫剤
・うがい薬
・薬用入浴剤
・薬用歯みがき剤
・コンタクトレンズ
・体温計
・血圧計
・補聴器

化粧品

  • ひげそり用剤
  • 薬用石けん
  • 化粧水
  • クリーム
  • シャンプー
  • 香水
  • まゆ毛用化粧品(まゆ毛に色をつけるようなもの)
  • まつ毛用化粧品(まつ毛を育毛するようなもの)
  • 歯みがき剤
  • メイクアップ用品全般

食品・健康食品

  • 各種サプリメント
  • ダイエット目的のドリンク
  • 健康維持を目的とした特別な成分が配合された食品やドリンク

健康器具

  • 視力回復マシン
  • 美顔器
  • 脱毛器
  • マスク
  • マッサージ器具
  • むくみを改善する、血行を促進するなどの効果のある矯正サポーター

広告の定義とルール

健康食品や化粧品を販売するにあたり、売り上げを左右するといっても過言ではない広告媒体。

広告運用に従事している方にとって薬機法のルールに接触しないようにする義務が生じます。

薬機法が広告と認める要点が3つあるので、下記で説明します。

1.顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確であること

2.特定医薬品等の商品名が明らかにされていること

3.一般人が認知できる状態であること

https://www.89ji.com/89ji_data/pdf/yakuji_koukoku.pdf

また、『薬機法』を実際の広告運用を行う際にわかりやすく記載されたルールとして設けられている『医薬品等適正広告基準』によると、『薬機法』の対象となる媒体は、以下の様に定められています。

第2(対象となる広告)

この基準は、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・ウェブサイトおよびソーシャル・ネットワーキング等のすべての媒体における広告を対象とする。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179264.pdf

厚生労働省

例えば、インフルエンサーによるSNS投稿についても、『PR目的』『商品名を提示して紹介』『ユーザーが認知できる状態』である場合は、上記で説明した『広告であること』と『医薬品等適正広告基準』のソーシャル・ネットワーキングの要件を満たしているので広告だと判断されます。

ですので、薬機法のルールに触れないように広告出稿を行わなければなりません。

医薬品等適正広告基準は、厚生労働省のホームページで閲覧することが可能なので目を通しておくと良いでしょう。

「薬機法」違反に関わる広告表現例

広告運用を行う際『薬機法』に違反しない表現とはどういったものなのでしょうか。

薬機法に触れないようにすると、どうしても本来使いたい表現や訴求が弱くなってしまいますが、法律を守れる範囲で、いかに商品の魅力を伝えるかが大切です。

厚生労働省のガイドラインで記載されているので紹介します。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38)芳香を与える。
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う類)
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯類)
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
(52)口中を浄化する(歯みがき類)
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする
NG例OK例
『ニキビやあせもが治ります』『洗顔でニキビやあせもを防ぎます』
『ここでは薬事法の関係で効果は記載できませんが…』『小じわを目立たなくさせます。』

安全性や効能効果を保証する表現

『安全』『安心』というような安全性や、『良く効きます』などの効果の確実でを保証するような文言も掲載不可とされています。

もう1点注意したいのが、言葉だけでなく画像や動画も掲載不可になっています。

例えば、商品の使用前後を比較する画像や動画は使えません。

また、美容整形外科などでの施術前後の写真も掲載できなくなりました。

医療従事者からの推薦文言を記載しない

医療関係者からコメントをもらい、商品の信憑性をアピールしようと検討している事もあるでしょう。

しかし、医療従事者からの推薦コメントは消費者への認識に多大な影響を与えるので、『事実であっても』使用を禁じられています。

体験談には注意が必要

商品を使用した体験談や口コミにも注意が必要です。

『効果を実感しています』や『○○が治りました!』『○○が増えます』というような口コミを掲載するケースがありますが、こうした確実な効果を保証する口コミは掲載不可となる場合が多いので注意が必要です。

『もう手放せない』という表現も、掲載不可とみなされる代表的な表現です。

この場合は『私にはこの商品が合っている』や『個人的に気に入っている』という言い方に変えましょう。

『最上級』の表現をしてはいけない

最上級を表す文言は基本的に使用できません。

例えば、『最高級の美白化粧水』や『最上級の美白クリーム』などといった表現は使えません。

例外で『売上No.1』や『〇〇コンクール第1位』といった表現は合理的根拠があれば認められます。

薬機法に引っかからないためのコツ

上記で薬機法について説明してきましたが、実際広告業界に従事している方からすれば、ここまで表現方法が狭くなってしまうと商品の魅力を伝える事が難しくなるのではないでしょうか。

薬機法に触れないように伝わりやすい表現するコツを紹介します。

オノマトペを利用する

『オノマトペ』とは『ニコニコ笑う』『雨がパラパラ降る』など、私たちが日頃から何気なく使っている擬音語や擬声語・擬態語を総省したものです。

上手にオノマトペを利用する事により、『薬機法』に触れずに表現をしやすくなります。

また、美容系であれば『つやつや』『うるうる』『ぴかぴか』などのオノマトペを使用すると読み手がこの商品を使用した時を想像しやすいのではないでしょうか。

広告チェックツール

誇大広告防止を目的とした広告文章チェックツールサービスなどもあります。

自動でチェックできるので、このようなサービスを導入する事も検討してみてはいかがでしょうか。

無料のサービスもあれば、一定額の金額が掛かる場合もあります。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる