M&A用語集

2020年ベンチャー企業は1年間で399社増加し、過去最高の伸び率となりました。

新しい会社が生まれる一方で、事業拡大の策として企業買収をする会社も増え、より生き残りが厳しくなっています。

買収する側のメリットは開発メソッドや顧客をそのまま獲得できるということ。

買収される側のメリットは企業価値の向上や経営難脱却など。

それに伴って買収者と売却者のより良いマッチングを行うためのプラットフォームも近年増加しています。

そこで今回はM&A(企業買収)の基礎知識について用語をまとめました。

目次

M&A用語一覧

M&A

M&AとはMerger, Acquisition and Restructuring,の略称です。

Merger:合併 Acquisition:取得 Restructuring:リストラ

直訳すると上記の意味になりますが、日本語では『買収、結合、再編』と表します。

他の会社からその保有する事業の一部を承継したり、株式取得により合併をしたりして、一挙に事業を拡大することが可能です。

メリットとしては大きな相乗効果(シナジー)が生まれること、企業価値の向上など様々なものが挙げられます。

一方できちんとM&Aを行う会社を内部事情を調べてからでないと、負債を請け負うことにもなります。

M&Aの方法にもいくつか種類があって、それぞれのメリット・デメリットを比較衡量して自社にあったプランで遂行することが大切です。

それぞれの会社や事業を継承するための方法のことをスキームと言います。

イグジット

ベンチャービジネスや企業再生などで投資を回収することを言います。

株式公開や第三者に企業を売却することで利益を得て、投資分を回収する方法です。

ベンチャー企業がイグジットを事業計画のうちに組み込んでいる場合は投資家たちを納得させられるだけの姿勢を見せる必要があります。

公開会社・非公開会社

株式会社で株式譲渡制限を行っていない会社を公開会社と言います。

公開会社=上場会社ではありません。

上場会社とは発行している株式が証券取引所で取引されているということです。

つまり公開会社であっても上場していない会社はありますが、上場会社で非公開会社はありません。

上場会社になると株主は好きな時に株式の売買ができるため、株式の動きも活発になり出資してもらえる幅も広がります。

キャッシュ・アウト

キャッシュ・アウトとは買収社が株式会社の発行済株式を個別の同意を得ることなく金銭を対価として取得する方法を言います。

継続的に投資を行おうとする株主の意思に反して株主を会社から退出させるという意味があるためキャッシュアウトと呼ばれています。

買収後に少数派の株主が残って利益相反行為を行うなどの妨害行為から会社を守ることが手段の一つです。

すべての株主から株式売却の同意を得ることは不可能に近いため、キャッシュ・アウトのニーズが発生します。

キャッシュ・アウトには特別決議を経て買取る方法と、買収社がその会社の10分の9以上の議決権を所有していた場合には承認を得ることなくキャッシュ・アウトが可能です。

株式譲渡自由の原則

原則株式譲渡は自由だが、会社の定款によって制限されることはあります。

制限をする理由としては完全に自由にしてしまうと、自社の株主としてふさわしくない人が株主になってしまう危険性があるからです。

そこで会社の承認を得なければ株式譲渡ができないという制限を定款によって定めている会社があります。

非上場会社ではよく行われている方法です。

もしも会社の承認を通らなければ、会社は自らその株式を買い取るか他の株式譲渡先を見つけて来なければなりません。

会社が株式を買い取る場合は、特別決議による必要があります。

なぜなら、会社が不当に高い値段で株式を買い取り、株主平等の原則が害されるのを防ぐためです。

株主総会

株主が集まって会社としての意思決定について話し合う場のこと。

株主総会はほとんどの会社が6月下旬に行います。

3月に前年度の決算報告書が出て、それを元に今後の意思決定の話し合いが行われるためです。

同じ時期に集中しているため株主総会の会場は各会社によって毎年同じ場所で開催されることがほとんどです。

かつては総会屋防止のために同時期に開催していたという理由もありました。

総会屋というのは、株式を1枚でも持っているという理由で株主総会に参加し、総会の流れを止めるといういわゆる嫌がらせ行為をする集団のことです。

株式買取請求

株主は自己の所有する株式を会社に買い取るよう請求することができます。

1つ目が会社が自分に不利益のある意思決定をした際に反対株主としてみとめられる株式買取請求権と、単元未満株式の所有者に認められています。

不利益のある意思決定とは、会社が事業譲渡を行う、合併・会社分割・株式交換・株式移転を行う、株式の併合を行う、株式の譲渡制限を行うなど様々です。

これらの行為に対して反対株主であれば株式買取請求権を行使することができます。

反対株主であるためには株主総会で会社の意思決定に対し反対であることを通知し、反対の議決権を行使する必要があります。

株主平等の原則

会社法109条により、株主は皆所有する株式の数などの応じて平等に扱わなければならないと定められています。

もちろん保有株式数に応じて議決権は増えますし、配当額も増大します。

この原則の期待するところは、収益の予測を可能にし株式投資を促すことです。

しかし株主平等の原則には限界があります。

株主総会に参加してくれた人にお土産を渡すなどすべてを完全に平等にすることはほぼ不可能です。

株主有限責任の原則

会社には株式会社の他にも有限責任会社や無限責任会社というものも存在します。

無限責任の場合株主は会社が倒産した時にともに責任を負うことになります。

しかし株式会社の場合は有限責任です。

会社が倒産したときは株主は投資した分のお金は戻ってきませんが、その額を失う以外に損害を被ることはありません。

このシステムのおかげで、出資者は事実上株主になった瞬間から責任を一切負いません。

そのため多くの投資家たちからの出資が可能になりました。

資産・負債・純資産(資本金)

資産=負債+純資産

純資産の中に資本金が含まれます。

したがって資産が5億円未満、または負債が200億円以上の会社は大会社として認められ、公開会社にならなければなりません。

不思議に思うかもしれませんが、負債200億円ということはそれに伴ってそれ以上の資産があるという計算になるからです。

親会社・子会社

例えばA社がB社の株式の半分以上を有していたとします。

その場合、株主総会でA社の方がB社よりも発言権が強いことになります。

もし何かを決議する時にA社の株主が全員一致で票を合わせた場合、B社の人たちが全員で協力したとしても過半数を取ることができないということです。

これはA社がB社の経営を支配しているとも言えます。

したがって、このような状態のことをA社が親会社でB社が子会社というように表記します。

組織再編

組織再編とは、合併、会社分割、株式交換・株式移転のすべてを含めた総称のこと。

移転する権利義務や株式を承継する方法と、新設する方法の2つの選択肢があります。

承継型:吸収合併吸収分割株式交換

新設型:新設合併新設分割株式移転

新設合併・吸収合併

新設合併とは2つ以上の会社がどちらの会社も残すことなく新たな会社を立ち上げるかたちで合併する方法を言います。

このメリットとしては2つの会社の間にパワー関係がないことで従業員の反感を買うこと少ない点が挙げられます。

一方でデメリットは新たに事業の許認可を取る必要があり、手間がかかる点です。

吸収合併とは合併により消滅する会社から吸収する側が権利義務一切を承継する合併方法です。

一般的には新設合併よりも吸収合併の方が比較的多く実行されています。

会社分割(吸収分割・新設分割)

ある会社が事業の一部を他の会社に承継させることを言います。

分割会社の権利義務をそのまま包括する方法を吸収分割といい、会社分割により新たな会社を新設する場合は新設分割と言います。

しかし負債を抱えた会社がその負債の部分だけを分割してその権利義務だけを新設会社に移転するという恐れもあるので債権者が不利益を被る可能性があります。

そのため債権者の保護を第一に考えなければなりません。

株式交換・株式移転

株式交換とは会社の発行済み株式のすべてを買い取ることを言います。

会社の株式を株主からすべてを買い取ることは極めて困難です。

しかし株式交換という方法を使えば、反対する株主からも株式をすべて取得することができます。

株式移転とは株式会社が発行済株式を新設する会社にすべて買い取らせて権利義務を移転することを言います。

これには原則として株主総会の承認を得る必要があります。

第三者割当増資

第三者に株式をお金をもらって引き受けてもらうこと。

上場会社が第三者割当増資を行う場合は既存の株主が損をしないように利益保護を考慮しなくてはなりません。

これは新たに株式を発行することで資金調達をするという方法です。

不公正な価格で新株が発行されると既存の株主が納得しません。

特に新しい株主に有利な価格で売りつける場合には株主総会でその理由について公開し、特別決議を取る必要があります。

事業譲渡

会社が事業の重要な部分またはすべてを他人に譲渡することです。

原則として株主総会の特別決議による承認を得る必要があります。

事業譲渡の対価は金銭であることが普通ですが、相手が株式会社であればその会社が発行している株式でも良いです。

それから事業譲渡をした場合、譲渡した側の会社には競業避止義務があります。

競業避止義務とは、同じ種類の商売を近隣の地域で行ってはいけない義務のことです。

同じ商売を行って顧客の取り合いになるのを防ぐためにこのような規定が設けられました。

MBO(Management buy out)

会社の経営者たちが自分たちでお金を出して株主から株式を買い取るカタチで行われ、オーナー経営者として独立することを言います。

経営陣が他社に買収されることへの対抗策として、自分たちで会社を買い取る場合、または雇われた社長がその会社を自分の所有にするために行う場合などが多いです。

経営陣の出資だけでは資金が足りない場合はLBOと共に行われます。

LBO(Leveraged buy out)

譲り受け企業の今後期待されるキャッチュフローや資産を担保として銀行から融資を受ける方法を言います。

株式の過半数を買収して経営権を取るという手法です。

譲り受け企業の将来の売上が返済の原資となります。

MBOと違って、買収主は企業外の人です。

買取引受(募集株式の発行)

株式会社は資金需要に対して株式を新たに発行することができます。

この時に新たな株主に対して発行された株式の価格が今まで発行していた株式の売値よりも安価であると、既存の株主との平等が測れなくなってしまうかもしれません。

その時は既存の株主から特別決議で同意を得ることによって利害調節を行います。

また、一度に大量に株式を発行すると、既存株主の持ち株比率が大幅に下がってしまいます。

それは議決権の行使などに関わる重要事項です。

そのため会社法は公開会社を除き、その決定に特別決議を要求すると定めています。

株式公開買付(TOB)

Take Over Bid。

証券取引所外で株式の買付枚数や価格を公開した上で、その株式を保有する株主に売却を促すこと。

これを証券取引所内で行わない理由は、株価が一気に上昇することを防ぐためです。

一定の価格で買い付けるためには他の投資家にばれない必要があります。

TOBの目的は企業の買収や子会社化すること。

自社のグループ会社を子会社化する場合は友好的TOBといいますが、会社の支配権を奪うための敵対的TOBもあります。

持ち株が100%は完全子会社ですが、まず持株比率が3分の1を超えると特別決議を単独で阻止する権利が与えられます。

そして50%を超えると株主総会の普通決議を単独で成立させることができてしまいます。

普通決議とはたとえば取締役の選任、解任、配当などです。

3分の2以上になると株主総会の特別決議を単独で成立させらるようになります。

特別決議とは会社の合併や事業譲渡などです。

ストック・オプション

株式会社の取締役に新株予約権が付与されること。

ストック・オプションを持っていれば、取締役は株価がいくらになっても最初に定めた行使価格で株式を取得できます。

このシステムの目的の1つ目は取締役がその会社にいる間に全力で会社の業績を伸ばすことに尽力するというモチベーションを上げること。

自分が会社に在籍している間に業績が伸びてその会社の株価が10倍になった場合、株価の1割の価格で株式を取得できるということです。

取締役の特権ですね。取締役の退職金の代替として使われる場合が多いです。

間接損害・直接損害

会社法429条に株式会社の役員等が第三者(株主を含む)に損害を被らせた場合、損害賠償責任を負うという規定があります。

しかし、役員が職務を行うにおいて悪意または重大な過失があった場合に限られます。

これは役員の任務懈怠(けたい)によって第三者が損害を被ることを防ぐためです。

第三者が受ける損害には間接損害と直接損害があります。

まず、間接損害とは役員の悪意または重過失により会社が損害を被り、その結果として損害の火花が第三者にも飛んできた場合を指します。

例えば、役員がある会社に回収できる見込みが無いにもかかわらずお金を貸してしまったとします。

その結果やはり回収ができずに、その役員の会社も負債を負いました。

その会社はクライアントの会社に対しても債務を履行できなくなってしまい、クライアントの会社は債権行使できなくなりました。

この事例は間接損害に当たります。

次に直接損害とは役員の悪意または重過失により第三者が直接損害を被ることを言います。

具体例としては、X会社の取締役が代金支払いの見込みが無いのにAから仕入れを行い、Aに対して約束手形を降り出しましたたが、X会社はその後すぐに倒産し、約束手形は不渡りになりました。

この場合、AはX会社の取締役の悪意または重過失によって直接損害を被っています。

M&Aの主な流れ

M&Aの主な流れは以下の通りです。

秘密保持契約→意向表明書→基本合意書→最終合意書→クロージング→価格の事後調整

秘密保護契約

会社がM&Aを計画していること、企業の現状・内情などが周りに知れ渡ってしまうと会社の業績に悪影響を及ぼしかねません。

従業員が動揺し一度に多くの社員が辞めてしまったり、ストライキを起こされたりする可能性もあります。

また、取引先に知れた場合に不信感が広がり契約を切られてしまうことも考えられます。

そのため秘密保持契約を最初に締結することはとても重要です。

これは売り手と買い手の企業だけではありません。

M&Aを進めていく過程ではたくさんの第三者が関わります。

そのすべての方々と秘密保持契約の認識を一致させておくことが大切です。

ここで気をつけるべきことは、1つ目が情報共有の範囲を明確にしておくこと。

2つ目は最後までM&Aが確定するとは限らないということを視野に入れておくこと。

最後3つ目は、契約を破ったときの罰則を明確に設けておくこと。

意向表明書

買い手が売り手に対してM&Aを行う意思を伝えるもの。

M&Aの目的、方法、買収価格などが記載されています。

意向表明書の提出は必須ではありません。

基本合意書

独占的交渉権の付与やデューデリジェンスの協力義務などが発生します。

基本合意書の部分はとてもトラブルの原因になりやすく、過去にも問題になった事例がたくさんあります。

これは売り手と買い手がお互いに価格などで合意した際に締結する書類です。

記載内容としては、売り手の会社に立ち入ってデューデリジェンスを行う権利、独占交渉権などです。

意向表明書は必須ではありませんが、基本合意書は必須です。

しかし基本合意書にも法的拘束力はありません。

交渉内容によって基本合意書の内容が変更されたり、案件自体が消滅したとしても損害賠償請求をすることはできません。

この段階で双方の要望についてできる限り細かく記載しておく必要があります。

独占交渉権

独占交渉権を与えてしまうと、他の会社とのM&Aの契約の話を進めることができません。

したがって、M&Aを実行するかどうかまだ決定していない状態でよくわからずにこの権利を付与してしまうことはとても危険です。

責任問題になりかねません。

たとえばこの権利をある会社に与えてしまってから、もしこの会社よりも好条件のM&Aの相手会社を見つけたとしても、新規で交渉を進めることはできません。

独占交渉権を付与して、それに拘束される期間は2ヶ月か3ヶ月くらいが目安です。

半年あることはほとんどありません。

そして独占交渉権には法的拘束力があります。

もしこの規則を破ったとした罰則が与えられます。

デューデリジェンス

投資を行う際にその投資先について、その企業の価値や投資することへのリスクなどを詳しく調査することをデューデリジェンスと言います。

デューデリジェンスには3つあって、1つ目は組織や財務の調査であるビジネス・デューデリジェンス。

2つ目は財務内容からリスクを調査するファイナンス・デューデリジェンス。

最後3つ目は定款や登記事項などの法的な問題について調査するリーガル・デューデリジェンスです。

買い手側はもちろん詳細にデューデリジェンスを行う必要があります。

しかし膨大な量の調査資料の提出を求めることは売り手の企業にあまり良く思われないでしょう。

一方で売り手側の企業がその調査に協力的ではなかったら不信感が広がってしまいます。

好意的なM&Aを行うためにも双方が協力的であることが求められます。

投稿者プロフィール

たまご
たまご
恵比寿から港区女子を夢見てライターの仕事をしている女子大生です。
夜景とイルミネーションが好きで、いつかタワーマンションに住んで都会の夜景を独り占めしたいと思っています。
インスタでハッシュタグ「豪邸」で調べることと、お風呂上りにベランダでオレンジビールを飲むことと、おいしいボンボンショコラを一日一個ずつ食べることと、ミルクティーを飲みながら読書をすることが好きです。
よろしくお願いします。
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