大日本印刷が、リアルな施設と並行して、建築用のデータをもとにメタバースを構築し、両空間の連動による企業と生活者のコミュニケーションを支援するサービスの開始を発表しました。
大日本印刷は、1911年に創業された日本の大手印刷会社です。広告印刷物、新聞、パッケージ、カードなど、さまざまな印刷製品を手がけています。
また、同社は印刷技術だけでなく、情報通信技術や電子出版など、デジタル領域にも進出しており、2021年からはリアルとバーチャルの空間を連動して、生活者の新しい体験と経済圏を創出する「XRコミュニケーション事業」を展開。さらに、安全・安心に楽しめるバーチャル空間を構築するXRロケーションシステム「PARALLEL SITE(パラレルサイト)」を提供しています。
今回、大日本印刷が発表したサービスは、PARALLEL SITEの機能を拡充し、メタバースの企画から構築・運用までをトータルに支援していくもので、完成前のリアル施設の一足早いバーチャルでの公開と体験、完成後の施設を遠方の顧客や社内外の関係者によるバーチャル利用など、社員のエンゲージメント向上や顧客とのコミュニケーションの活性化につなげるものです。
具体的には、建築関連の3次元データに加え、各室の名称・面積、材料・部材の仕様などの属性情報をあわせ持つBuilding Information Modeling(BIM)データやCADデータ、3次元座標値・色情報で構成される「点群データ」など、さまざまな建築・設計データをもとに、最短2か月からメタバースを構築することが可能です。
構築されたメタバースは、最大1,000名まで同時に参加することが可能で、就職説明会のほか、国内外の社員が一堂に会する大型イベントなどにも利用できます。また、参加者同士が会話できる音声チャットや画面共有の機能も搭載されており、イベントに合わせたクイズパネルなどの機能も提供されます。
さらに、メタバース参加者の属性や利用回数、コンテンツ視聴回数などを把握・分析することができ、メタバース上で関心が高かったコンテンツや体験企画などを参考にして、リアル施設を活用した企画の設計やマーケティング、各種イベントとの連動が可能。価格はメタバースの初期構築費が800万円から、運用費が50万円からとなっています。
今後は大日本印刷が開発中の生活者個人を特定するアイデンティティ情報とアバター情報の管理・認証を可能にする「PARALLEL ME」と連動させて、利用者の個別認証も可能にする予定とのこと。
大日本印刷は本サービスの開始にあたり、「近年テレワークやワーケーションが広がり、働き方や暮らしの多様化によって、リアルな施設の利用方法や位置づけが大きく変化し、バーチャル空間でもリアルな施設と同様の体験や働き方をしたいというニーズが高まっています。こうしたニーズに対して、建築データをもとにリアル施設と並行してメタバースを構築し、多様な企業コミュニケーションを支援するサービスを開発しました」とコメント。
同社は本社がある東京・市谷地区の再開発を進めるなかで、2022年から2023年にかけて自社ビルの建築データを活用してメタバースを構築し、「メタバース納会」や「社内向けイベント“未来づくりミーティング”」を開催しました。これらで得たノウハウをサービスの開発に活用するとしています。
投稿者プロフィール
- ウェブコンテンツ業界20年。酸いも甘いも経験したと思った矢先、業界のさらなる巨大さと深さを知り日々挑戦する爆走社長です。趣味:筋トレ・ゲーム・株式投資。
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