モバイル型のスマート決済端末「PayCAS Mobile」を手がけるSB C&Sは、PHCが提供している診療所用医事一体型電子カルテシステム「Medicom-HRf」とのAPI連携をスタートしたと発表しました。
SB C&Sはソフトバンクの100%子会社で、IT機器の製造・販売や、IT関連サービスの提供をしている企業(旧社名:ソフトバンク コマース&サービス株式会社)。同社の提供するPayCAS Mobileは、クレジット・電子マネー・QRコードでの決裁に対応するオールインワンのスマート決済端末で、スマホサイズで高機能というモバイル性が支持され、飲食店や宅配、イベント、アパレルなど様々なシーンで利用されています。
このPayCAS MobileとAPI連携したのが、医療機器メーカーのPHCが手掛けるMedicom-HRf。オンプレミスとクラウドを融合させた“ハイブリッド型”を特徴とする電子カルテ・医事会計システムで、業界でも大きなシェアを誇っています。このシステムがモバイル端末と連携した背景にあるのが、医療の世界が抱える課題です。
社会全体でキャッシュレス化が進められる中、経産省の調べでは個人消費に占めるキャッシュレス決済比率が32.5%となっていますが、これに対し医療機関における導入率は約13%(日本医師会調べ)と低迷。導入環境の整備が急務だと指摘されている状況です。
導入が遅れている理由は、キャッシュレスの手数料の問題や、患者に高齢者が多いためIT機器に抵抗感があるという点や、新規導入に必要なコストの問題など様々ですが、これらの事情により、防疫対策が必須であるはずの診療所で、会計は現金による手渡しという慣習が残ってしまい、会計事務においても職員の手間が減らないという課題が残されていました。こうした現実を、キャッシュレス化・会計事務の自動化によって改善するために実現したのが今回のAPI連携です。
Medicom-HRfとPayCAS Mobileが連携することで、診療所での会計処理が簡略化され、同時にコロナ禍に入って以来推奨されている“非接触”という課題もクリア。事務担当者が患者のもとへ出向いて会計処理を行うことも可能になります。Medicom-HRfが診療所で一定のシェアを持つことから、導入へのハードルも下がりそうです。
また、医療における会計事務では細かな診療報酬の計算が必要になるため、ほとんどの診療所ではレセプトコンピューター(レセコン)と呼ばれる専用システムを導入しています。Medicom-HRfもレセコン一体型の電子カルテシステムですが、このAPI連携では診療報酬額がレセコン連動アプリケーションを通してPayCAS Mobileに自動で取り込まれるため、決済手続きを簡略化でき、人的な入力ミスも防止。キャッシュレス決済金額の自動集計機能も搭載しているため、効率的な会計処理が可能になるとされています。
この取り組みについて、SB C&S取締役の草川和哉氏は「PayCAS Mobileを導入することにより、非接触での支払が診療所における感染症の予防対策およびスタッフの業務負担の軽減に寄与すると考えています」とコメント。今後もDX推進に貢献しいくとしています。決済手段の選択肢が増え、会計時間も短縮し、処理上のミスも減らす今回のAPI連携。患者と医療従事者、医療機関それぞれにメリットを生んでくれそうです。
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- ウェブコンテンツ業界20年。酸いも甘いも経験したと思った矢先、業界のさらなる巨大さと深さを知り日々挑戦する爆走社長です。趣味:筋トレ・ゲーム・株式投資。
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