アマナとツークン研究所が「デジタルヒューマン」プロジェクトを始動

スチールや動画素材などのクリエイティブ資源に関するサービスを提供するアマナと、最先端の映像技術を手がける東映株式会社ツークン研究所(以下、ツークン研究所)は、3DCGで制作する人物「デジタルヒューマン」のプロジェクトをスタートしたと発表しました。

アマナは1979年に広告写真を専門とする会社として設立され、以来スチール画像や動画、CGなどを幅広く手掛けてきました。その後事業を拡大し、現在はビジュアルコミュニケーションを主な事業に掲げ、これまでに蓄積してきたナレッジをもとに企業のコミュニケーション施策やDX推進をサポートする企業となっています。

また、ツークン研究所は東映の一組織で、東映デジタル部門の研究機関というポジション。映像文化にデジタル技術を取り入れ、コンテンツの未来をデザインすることをミッションとしています。組織名のツークン(ZUKUN)は、ドイツ語の「未来(Zukunft)」に由来しているそうです。この両者が出会って、今回のプロジェクトが誕生しました。

プロジェクトの概要は、夫婦と子どもの3人家族をデジタルで制作し、それを企業のプロモーションやコミュニケーションツールに活かすというもの。

特徴はそのファミリーのキャラクター像で、実在しないバーチャルファミリーながらも、年齢や職業、衣食住の好み、ライフスタイルなど細かいディテールをペルソナとして注入している点にあります。

この詳細な設定により、一人ひとりの人物に単なるイメージを超えたリアリティを付与し、人格を備えたデジタルヒューマンとしてストーリーを語ることが可能に。従来のCGを超えた価値を生み出す“モデル”として、より共感を生みやすいプロモーションの実現を目指すものとなっています。

また、バーチャルモデルとしてのデジタルヒューマンを起用することで、各業界に様々なメリットがもたらされることも予想されます。

デジタルヒューマンは時間・場所を問わずキャスティングでき、開発が進めば肌の色や体型なども変えられるようになる予定です。もちろん“手タレ”のようにパーツだけでのモデル起用も可能で、コストやクオリティ、リスクヘッジなど、リアルモデルを起用する際の様々なネガティブ要素を大幅に低減できます。

加えて、実在の人物であればどうしても発生してしまう肖像権使用に伴う競合の排除や、展開メディア、契約期間など様々な縛りから解放され、煩雑な契約手続きや積み上がっていくコストも不要に。さらに、近年厳しさを増しているコンプライアンスへの対応にも活躍してくれます。バーチャルモデルであれば、スキャンダルによる契約破棄などの問題も起こりえないからです。

アマナは今回のプロジェクトに対し、「来るべきメタバース時代に、コミュニケーションマーケットにおいて、サステナブルなビジュアル制作ができる画期的な施策として、今後、多方面でのニーズが期待されます」としており、メタバース時代における“もうひとつの家族像”を描こうとしている姿勢がうかがえます。

こうした目標を実現するのに十分なクリエイティブ資源を持つアマナと、最新のデジタル映像ノウハウを豊富に持つ東映。この両者の協業で、私たちにどんなプロモーションが届けられるようになるのか、期待が高まります。

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投稿者プロフィール

大島 予章
大島 予章
ウェブコンテンツ業界20年。酸いも甘いも経験したと思った矢先、業界のさらなる巨大さと深さを知り日々挑戦する爆走社長です。趣味:筋トレ・ゲーム・株式投資。
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