都市連動メタバース向け「バーチャルシティガイドライン」がver.1.5に

KDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、及び渋谷未来デザインで組織される「バーチャルシティコンソーシアム」が、バーチャルシティ(都市連動型メタバース)に関わるステークホルダーの共通理解と、開発・運営側に指針を示すことを目的とした「バーチャルシティガイドライン」をver.1.5に更新したと発表しました。

バーチャルシティコンソーシアムは、日本発メタバースの発展をめざし、前述の3社1法人に加え、経済産業省、渋谷区、大阪府、大阪市をオブザーバーに迎え、行政視点も取り込みながら運営されている組織です。

同コンソーシアムがデータ収集活動を行うのは、渋谷区公認の配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」。ここで得た知見をもとに専門家が議論・研究を重ね、情報発信やガイドラインの策定などの活動をしています。

今回の改定のベースになった「バーチャルシティガイドラインver.1」は2022年4月に発表されたもので、このver.1をもとに、コンソーシアムが内容をブラッシュアップ。クリエイターエコノミーの実現を前提として、NFTを活用する際の留意事項やバーチャルシティでの活用の考え方を中心に、現状にフィットさせる方向でアップデートされています。

このアップデートにおける主なポイントは、3つです。

1つは「クリエイターエコノミーの活性化」で、「メタバースにおいては、運営側から一方的にユーザーへコンテンツを提供するのではなく、ユーザーの創造性を促し、コンテンツやサービスをユーザー自身が創出して他ユーザーに提供できるような環境構築が望ましい」としています。ガイドラインでは、これらの活発化を目指すため「ブロックチェーン技術の可能性」、「ユーザー主体による相互運用性の確立への活用」、「NFTの活用」「ユーザーによる自治」などの観点から論点を整理するとしています。

また、2つめは「メタバース・都市連動型メタバースでのNFTの活用」で、メタバース、および都市連動型メタバースにおけるNFTの活用方法を、事例を交えて紹介し「メタバースについてはアート・コンテンツでの活用および、その際における様々な課題を整理。都市連動型メタバースについては、バーチャル渋谷やエストニアの事例をピックアップ」としていて、「実在都市の関係人口の増加」や、「シティプライドの醸成」、「実在都市の機能との連動」といった目的について、あるべき姿を提示するとしています。

そして3つめは「メタバースにおいてNFTを活用する際の課題」です。クリエイターの収益化実現に向け「現在の課題として“流通過程での中抜き”と“過当競争”の2つをあげ、解決に向けた案を提示」するとのこと。その他、個人情報取り扱いに関する留意事項や、金融商品取引法、資金決済法などの金融規制においてのNFTの該当有無について法的整備がまだなされていない点など、今後の議論が必要な点を指摘しています。

メタバースへの関心が高まる中、実践的な方向へさらに踏み込んだ今回の改定。ガイドラインに記された、メタバースに関する様々な動きが「一時的なブームで終わってしまうようではもったいない」という一文に、コンソーシアムの意気込みが感じられます。

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投稿者プロフィール

大島 予章
大島 予章
ウェブコンテンツ業界20年。酸いも甘いも経験したと思った矢先、業界のさらなる巨大さと深さを知り日々挑戦する爆走社長です。趣味:筋トレ・ゲーム・株式投資。
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