ESG投資の重要な柱:ウェルビーイングの促進と持続可能な未来

ESG(Environmental, Social, and Governance)において、注目すべき重要な目標の一つは「ウェルビーイング(Well-being)」です。

この注目される理由は、持続可能な企業活動を追求する際に、人々の健康と幸福が不可欠な要素であるからです。企業が従業員のウェルビーイングを重視することは、業績の向上に直結するだけでなく、社会的な信頼性と共感を高めることにも繋がります。

本記事では、ESGの中でウェルビーイングがなぜ重要かについて詳しく解説します。

目次

ESGとウェルビーイングはビジネスにおいても重要な位置づけ

近年、企業がEnvironment(環境)、Society(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)に配慮する姿勢が重要視され「ESG投資」が拡大しています。特にSociety(社会)の視点では、労働環境の改善や女性活躍の推進などが含まれ、これらはウェルビーイングと重なる側面も多く見られます。

ビジネスにおけるウェルビーイングは、従業員の幸福と健康を重視し、組織全体のパフォーマンスと生産性を向上させるために非常に重要です。従業員がウェルビーイングを感じる環境にあると、モチベーションが高まり、離職率の低下やストレスによる健康問題の減少につながるとされています。

これら二つは、一方は社会からくる幸福、一方は個人からくる幸福という観点の違いはあれど、長期的で持続可能な幸福を追求していくという意味では似ている思想でもあります。

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ウェルビーイングとは

1948年に発効した世界保健機関(WHO)の憲章によれば、健康とは「病気や弱っていないだけでなく、身体的・精神的・社会的に完全な幸福であり、不自由なく満たされた状態である」と定義されています。つまり、ウェルビーイング(well-being)とは、身体的・精神的・社会的な健康と幸福が備わった状態を指すのです。

具体的には、個人が身体的な健康だけでなく、心理的な幸福感や社会的なつながり、生活の満足度など、多角的な幸福と健康を享受している状態を意味します。これは、より充実した人生を送り、個人的・職業的な成長を促進するために重要な要素となっています。

ウェルビーイングの5つの要素

ウェルビーイングの構成要素は「PERMA理論」から生まれました。この理論は、ポジティブ心理学の提唱者であるアメリカの心理学者、マーティン・セリグマンによって2011年に提案されました。

彼はウェルビーイングを以下の5つの要素で定義しています。

  • ポジティブ感情(Positive Emotions)
  • エンゲージメント(Engagement)
  • 関係性(Relationships)
  • 意味・意義(Meaning)
  • 達成感(Accomplishments)

ポジティブ感情(Positive Emotions):幸福、喜び、温かさなどの陽気な気分を指します。

エンゲージメント(Engagement):仕事に完全に没頭し、時間が止まったように感じる状態を意味します。心の流れ状態とも言われます。

関係性(Relationships):他者と良好な人間関係を築くことを指します。人生で起こる多くの素晴らしいことは他者との関わりによるものです。

意味・意義(Meaning):自分自身よりも大きな存在に属し奉仕することを指します。人生の意義や仕事の目的が明確であり、目標を追求できるかが重要です。

達成感(Accomplishments):達成したり完遂したりする感覚を指します。ここでは、お金を稼ぐことが好きであるから稼ぐことも含まれますし、自身の優れた点による成就を追求することも含まれます。

PERMA理論によれば、これらの5つの要素を満たすことで、人は幸福で充実した状態を実現できるとされています。

ウェルビーイング経営とは

会社員の身体的健康や心理的な幸福感、仕事へのエンゲージメントを高めるための組織的な仕組みを整えることで、結果として会社員の生産性や創造性を高める経営手法がウェルビーイング経営です。

厚生労働省が2019年7月に公表した「雇用政策研究会報告書」では、ウェルビーイングの向上になれば、生産性向上が相互に良い影響を与え合う好循環を発表。この報告書がウェルビーイング経営に対する関心を高める一因となりました。

ウェルビーイング経営では、従業員の健康と幸福を重視し、ストレスの軽減やワークライフバランスの改善、心理的なサポートなどを通じて、従業員の働きやすい環境を整えることが重要視されます。これにより、従業員の満足度が高まり、モチベーションが向上することで、生産性や創造性の向上につながるとされています。

ESG投資一貫簡単に解説→

ウェルビーイングを企業に取り入れるメリット

ウェルビーイングを経営に取り入れることには多くのメリットがあります。

以下は主なメリットです

1. 生産性の向上: ウェルビーイングを重視する企業は、従業員の健康と幸福に投資することでそれらを満たし、結果として彼らの生産性と仕事に対する取り組みが向上します。

2. 顧客満足度の向上: ウェルビーイングの高い従業員は、顧客との対応やサービスにおいても積極的であり、丁寧で思慮深い対応をするようになり顧客満足度の向上に寄与します。

3. 従業員の健康管理: ウェルビーイングに焦点を当てることで、従業員の健康リスクを低減し、健康管理のコスト削減につながる場合があります。

4. 優秀な人材の獲得・定着: ウェルビーイング重視の企業は魅力的な職場と見なされ、優秀な人材の獲得と定着が容易になります。

5. 社会的責任の履行: ウェルビーイングを重視する企業は、社会的責任を果たしているとの認識を高め、結果としてブランドイメージが向上します。

従業員が健康で長期間、活動的で情熱的に働くために、現在、多くの企業がウェルビーイングを経営戦略の一環として積極的に取り組んでいます。

個人だけでなく、組織全体の健康な生活を向上させることが不可欠です。

以上のように、ウェルビーイングは個人の幸福と健康を促進するだけでなく、企業のパフォーマンスと競争力を向上させる重要な要素として注目されています。

企業は従業員のウェルビーイングに対して積極的に取り組むことで、持続可能な成功を収めることができるでしょう。

起業ができるウェルビーイング

起業ができるウェルビーイングとして、以下のような取り組みが考えられます:

  1. 社内保育所の設置:社内に保育所を設けることで、社員の子育てをサポートします。子供が近くにいることで、社員は仕事と家庭の両立がしやすくなります。
  2. 社内食堂、ドリンクお菓子バー:社内に食堂やドリンク・お菓子のバーを設けることで、社員は食事や休憩を手軽に楽しむことができます。忙しい日常でも、栄養を摂ることができるため、健康的な生活をサポートします。
  3. 季節の生活支援:季節の変化に合わせて、飲料や季節のアイテムを提供したり、商品券を配ったりして、従業員が自分や家族のニーズに応じて季節商品を手に入れることができます。携帯用の扇風機やカイロ、旬のフルーツ、生活用品など、日常的な福利が従業員の幸福感を向上させることができます。

これらの取り組みは、社員のワークライフバランスを改善し、健康や幸福感を促進することに役立ちます。また、社内のコミュニケーションやチームビルディングにもプラスの影響を与えることが期待されます。

ウェルビーイングを重視することで、社員のモチベーションや生産性の向上にも繋がるでしょう。

ESG注目すべき目標はウェルビーイング

ウェルビーイングとESGは、それぞれ異なる概念ですが、持続可能なビジネス活動と社会的な価値を重視する点で共通する側面もあります。

ESG(Environmental, Social, and Governance)の枠組みでは、ウェルビーイングは「S」にあたる「Social(社会)」の側面に関連する重要な目標の一つです。ウェルビーイングは、従業員の身体的、精神的、社会的な健康と幸福感を重視する経営アプローチであり、企業が社会的責任を果たし、従業員や関係者の利益に配慮することにつながります。

これらのウェルビーイングに関連する目標を達成することで、企業は従業員やステークホルダーとの信頼関係を強化し、持続可能な成長を実現することに寄与します。ESG投資の中で、ウェルビーイングに重点を置く企業は、社会的な評価とパフォーマンスの向上につながる可能性があります。

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