リスキリングとは新しいスキルセットと人的価値向上

2023年7月20日

リスキリングは様々な社会変革において、今後発生するであろう職種や働き方に対して役に立つスキル習得を目指す行動やその準備を指します。

新たなスキルを学び、自身の能力を再構築することで市場価値を高める、あるいは別のジャンルにチャレンジできるようになり個々人のキャリアが持続的に評価されることになります。

逆説的には現在は世の中で必要とされるスキルの入れ替わりが早いため、リスキリングという選択肢が既に当たり前のものになりつつあります。

こちらの項目ではそんなリスキリングとはどういったものであるかについて解説していきます。

リスキリングとは

リスキリングとは、現代のビジネス環境や技術革新に対応するために、新たな知識やスキルを習得することを指します。英語で「Reskilling」であり、スキルを付け直すこと、学び直すことと表現されます。

つまり平たく言うと「社会人のスキル学習」です。

2022年以降の経済産業省は特にリスキリングを推奨しており、コロナ禍からの回復に代表されるような時代背景もあり、1つの転換期となっています。

急速に発達するAI分野とDX（デジタルトランスフォーメーション）が叫ばれる昨今では人材需要が新しく生まれ、そこに人材の不足が発生します。

そんな新しい分野に対する人材を早期に創出する為、国内就労者のリスキリングが進みやすくなる様にと国が新しい取り組みとしてリスキリングの推奨を始めました。

2021年に経済産業省が発表した資料によると、リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する／させること」と定義されています。

社会的な構造の変化からくる人材不足、人的資本経営へのシフトや自律的な働き方への移行。

現代を取り巻く多くの要素がリスキリングの必要性を高めています。

これらの背景を理解し、適切なリスキリングの戦略を立てることが、個々のキャリア形成だけではなく、社会全体の成長にも寄与します。

リスキリングという言葉の流行

リスキリングという言葉は特に2022-2023年付近から急速に浸透しています。

経済産業省はこのリスキリングという言葉を用いて、現役世代のスキル習得を推奨しています。

その前段階として経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」という検討会も2021年に開催されていました。

世界的にもリスキリングの潮流は来ており、これは国内に留まっている問題ではありません。

技術過渡期、特に2022年以降のAI革命ともいえるものに直面している現役世代にとっては「新しい技術の『使い方』」というのが求められる機会が多くなりました。

こういったことも含めて「使える人材」を1人でも多くしようというのがリスキリングの大きな枠組みなり、発信される機会が多くなったというわけです。

古くは「ボイラー技士の資格があればくいっぱぐれることはない」と言われた時代もありましたが、世界的な経済危機や疫病の万円など、大きな危機が起こるたびに市場には大きな変革がもたらされるため、この変化についていくこと自体が非常に重要と言えます。

「去年通用した知識が今年は市場価値がない」こういったことが日常茶飯事になるかもしれません。

リカレントとリスキリングの違い

リスキリングに似た言葉で「リカレント」という言葉があります。

リスキリングとはこちらの記事で解説をしている通り就労を維持したまま学習を行います。

しかし、リカレントの場合は一度離職をして専門学校などの機関に通って行う学習を指します。

また、リスキリングは企業などが率先して推し進めるため「企業寄りな表現」。

リカレントは生涯学習と訳されることもあり「個人寄りな表現」とされる場合もあります。

いずれにせよ二つの言葉には違いがあり、同じものではないということは頭に入れておきましょう。

会社単位のリスキリング

会社単位のリスキリングは、現代のビジネス環境での成功の鍵となる要素です。これは、企業が自社の従業員のスキルを再編成または強化し、新しい職務や業界内で働く能力を身につけさせることに等しいからです。

リスキリングは、企業が先々の成長目標を達成するための最良の手段の一つです。しっかりとした事業計画とリスキリング目標を設定して行くことで、目標や新しいビジネスニーズに沿った能力を身につけることができます。

また、リスキリングは大きく下記のような要素の向上が見られます。

業務効率化

リスキリングによるよって目に見えてよくなるのは個人単位の業務効率化です。

現在の業務に必要なスキルを習得したり、別工程の作業を知れたことで本業の業務に対してもポジティブな反映がなされ、より洗練された仕事ができるようになります。

個人単位の業務が効率化され、それがやがてチームやプロジェクト単位での効率化を生み出します。

そうしていままで生産していたプロダクトの力が10％、20％と向上していきます。

品質の向上

リスキリングにより今まで足りていなかったスキルも取得しなおすことができ、より対応できる範囲が増えるようになります。

また、スキルセットが増えると適応能力が向上する為、トレンド技術を取り入れることができたり、新しい視点での見直しが掛かり、今までよりもより仕事の品質を高めていくことが可能です。

また、精神面の成熟も重要で、可視化されたスキルセットにより満足感と責任感が生まれ結果それが品質の向上に一役買う場面も出てきます。

人的価値の向上

会社という所属の中で価値が高まるのは当然ですが、リスキリングは個人単位でも当然価値が高まります。

マネジメント・要件定義のスキルが身につくことにより上流を任せられる人間が増えたり、柔軟に全体でワークに取り組むことができる様になるかもしれません。

分析のフレームワークを新たに身に着けることにより、深い考察のレポートや一段レベルの高いPDCAに生かせるでしょう。

また、現在の延長線上にあるスキルセットではなく、別のスキルを身に着けることにより横断できる仕事が増える可能性もあります。

マルチな人材として市場価値の上昇が見込めます。

リスキリングの人気分野

2020年後半に向けて人気になっていくであろうリスキリング分野をまとめました。

いずれかのジャンルに挑戦しよう、またはいずれかのジャンルについて強みのあるチームを作りたいと思っている方はぜひ検討してみてください。

プログラミング：SE業界は常に人材不足とされ、特に人気のジャンルです。またAI分野においてPythonを使う可能性も高まり、ますます過熱感が出ています。
IT関連補助スキル：デジタル化やDX化が推進されている中、新たなIT分野のスキルを身につけることは非常に有益です。特に中小では意外と社内インフラや細かい整備ができないことも多く、範囲の広い知識があると重宝されます。
マーケティングスキル：近年はWEBやデジタルの分野でのマーケティングに注力する企業が増えており、新たな顧客獲得、商品の販路拡大などに非常に役立ちます。
データ分析：PDCA、顧客獲得効率は常に求められる分野であり、その下支えとなるデータ分析は常に有用な能力です。
コミュニケーション分野：ビジネスにおいては、効果的なコミュニケーションスキルが必要不可欠です。商談のみならず、基本的なアイスブレイクやプレゼンでの進行スキルなど必要とされる場面が数多くあります。
語学：グローバル化が進む現代社会において、特に英語などの語学スキルは非常に有益です。昨今では翻訳も精度がかなり向上していますが、それでも間違いや確認の手間は発生しますので、ダイレクトに原文を理解できる語学力はまだまだ必須と言えます。

これら人気のスキルを学習することで、市場価値を高めることに繋がります。