SAPコンサルタントとは? 未経験や業務の中身は? 将来性や需要と給与アップについて

市場価値が非常に高く、2025年以降の需要も高まっていくとされるSAPコンサルタント。

案件数が増える一方で、専任のコンサルタントが少ないということで、フリーランス案件や転職事情での価値は高まる一方です。

その業務内容は名前の通り世界的にも普及しているSAPシステムの導入から運用までを行い、企業の課題解決への取り組みとなります。

SAPは世界シェア、国内シェアともに高く「2027年問題」という課題も取りざたされており、2020年後半はSAPもしくはERPシステムという文や自体の需要がさらに大きくなっていくという予想されています。

SAPコンサルタントは分析、設計、要件定義など様々なスキルが求められるのに加え、SAPシステムの熟知度、対象先の企業へのフィット感などを考えなければいけません。

通常のコンサルタントの能力に加え、SAP社が公式から発布しているSAP資格の保有。さらに要件によっては実務歴○年以上といった業務従事の内容も求められるため、SAPコンサルタントを名乗るのは一筋縄ではいかず、その関心度も高まっています。

昨今注目を浴びるコンサルタントへの転職ですが、それらとは違った独自領域のSAPコンサルタントの将来性や独自性について解説していきます。

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目次

SAPコンサルタントとは

SAPコンサルタントとはSAPシステムの新規導入から、企業に合わせたカスタマイズの要件定義、その後の運用設計とそのサポートまでを行う人材を指します。

単純なIT領域のみのコンサルティングというわけではなく、企業の最終的な利益を考えた提案までを行う総合コンサルティングのポジションです。

SAPはERPというシステムジャンルの中の一つですから、企業は既にERPを導入している場合があります。その為SAPコンサルタントは、企業から導入の希望を受けた時に「既存のERPシステムよりSAPの方が優位になるか」もし初めての導入であれば「そもそもERPシステムをなぜ導入するのか?」という根本的な導入目的を想定し企業の業態把握に努める必要があります。

その上で企業側に「今回本当にSAP導入を勧めるべきか」を判定するのがとても大事な作業になります。

何故ならSAPのシステム構造に合わない企業にSAPを導入しても、業務改善が見込めずむしろコストにしかならなくなってしまうからです。

その為、企業側の定常業務や事業計画から必要な要件を洗い出しSAPの導入が好ましいかを判定していきます。場合によっては別のERPの方が適性がある可能性もあります。

SAPのシステムが適切だとの判断となった場合は、企業と話し合いを進めSAPのカスタムを要件定義していきます。

SAPはパッケージとしては完成していますが、企業の形態や業態に合わせて導入による初期カスタマイズとアドオンの開発という状況が発生します。

通常のテンプレートも細分化されており、それらが適切であればそのまま適切なテンプレートから運用を選ぶこともできますが、開発が発生するかどうかは企業側の求めるものを深く把握していなければなりません。

フラットな状態のSAPからどのようにカスタムをすれば当該企業側にとって最も良いシステムになるかを要件と照らし合わせながら最適化、明文化していきます。

テンプレートの選択、もしくは追加の開発を乗せたうえで実装し、納品することで初めて企業側がSAPシステムの運用フェーズに入ることができます。

当然アドオンは企業の個別要件に対して開発を行うわけですから、不具合などのリスクもあり導入スケジュールが初期の目算よりも長期化する可能性もあります。

これらのリスクなども明示しながら企業に対してコンサルティングを行うこともこの仕事の大きな目的の一つとなります。

導入前、導入直前でも求められるものが変わっており、要件定義に始まり実際の運用トレーニングまでをSAPコンサルタントは行わなくてはなりません。

システム上どのような項目を計測する目的で導入したのか、この数値を監視することによって企業に何がもたらされるかを運用者に理解してもらわなければ、どんなにいいシステムを導入しても望む結果が得られないからです。

また、運用開始後などのアフターサポート大切な要素です。

社内の他システムの入れ替えにより調整が必要となる可能性やSAPのアップデートによる調整の可能性などを常に含んでおり、一定の運用プロセスを続けるというのが現実的に困難にあるため、それらに適応した対応を求められるためです。

SAPという大きいシステムをカスタマイズしながら導入し動かすというのは、広域の知識や経験を必要とする大変重要な仕事なのです。

SAPコンサルタントの需要と独自性

SAPコンサルタントを需要面というものさしの魅力で見る場合「人材市場に少ない」ということが挙げられます。

また、SAP自体の導入数がERPシステムの中でもトップであり、常に需要があるというのも強いポイントです。

大手企業に導入されてきたSAPですが、今後は中規模の企業に対してもそのシェアを拡大していくことが予想されています。

SAPコンサルタントが実態数が少ない理由としてSAPコンサルを名乗るには、後述するSAP社の発行するオフィシャルの試験をパスして正式に資格取得をする必要があるからです。

また、試験内容自体が非常に難解で合格率が低い、言語の障壁があるなどで有資格者が少なく、逆に市場需要は高いという現象が発生しています。

SAPコンサルタントを目指すメリット

SAPコンサルタントは、一般的にIT人材と呼ばれる職種に分類されます。現在ではDX人材と枠組み上捉えることができるかもしれません。

企業の無駄を排除し、全体の生産効率を高めるために仕事をするSAPコンサルタントは上流から下流までの業務効率化をシステムによって実現するという非常にハードな仕事性質を持ちます。が、その分報酬も高くなる傾向にあります。

また、上流から企業全体のフローを見直す為経営視点を身に着ける必要があり、経営層へのキャリア形成が可能です。

SAPを必要とする企業は大手企業など、事業が大きくなり効率化を進めているところが多いという観点から、必然大手企業で働く可能性が高まります。

逆に、小規模授業者ではSAP自体の導入予定がない可能性があり、職種としては中規模以上の企業との取引が多くなるでしょう。

スタートアップ企業などでのコンサルティングを希望する場合は、SAPコンサルタントとしては仕事ができない可能性があります。

年収は一般的なシステムエンジニア職などより高いとされる傾向があり、1000万円越えも狙える職種と言われています。

SAPコンサルタントの需要と将来性

SAPコンサルタントは、今後需要拡大が加速していくという見込みがあります。

SAPというシステムは2025年問題(2027年問題)というものがあり、これは2025年(一部2027年)に旧SAPシステムのメインサポートが終了するという問題です。

この問題の解決策として

  1. S/4HANAに移行する
  2. SAPから他ERPに移行する
  3. サポートなしで運用を続ける

のいずれかの選択を迫られている企業があり、解決が望まれています。

移行に関しては大幅な書き換えやデータ処理が発生し、実質は新規でシステムを再構築しているイメージに近くなります。

サポートなしで運用を続ける場合はそれらの導入費用をカットできますが、将来的にいつどのような不具合が起きるか予測がつかず、セキュリティも相対的に脆弱になる可能性がある為いつまでもリスクにさらされる危険性がありますので、まずこの選択肢を取ることはありません。

これらの問題を解決すべき企業は多くありますが、SAPコンサルタントやSAPシステムへの理解不足があり、なかなか方針すら出せない企業があるのが現状です。

そのため、これらの移行についてコンサルティングを実行できる人材が非常に求められているのです。

当然、2025年以降もこれらの運用サポートなどの仕事は多く見込まれており、また新規で導入する企業も増えていくため需要はますます高まると予想されています。

SAPコンサルタントへの転職

SAPコンサルタントと一口に言ってもその道のりは非常に困難で、多くの知識、経験を必要とされます。

SAPコンサルタントの活動として必ずしも資格取得が必要なわけではないですが、当然取得している方が信頼性が高まったり、参加できるプロジェクトも多くなります。

ステップとしては下記のようなものが考えられます。

  • コンサルティングファームへの転職
  • SAPコンサルタントテキストを利用しての学習
  • SAPコンサルタント資格の取得

といった順番が挙げられます。

SAP資格自体は

また、その他推奨される業務経験として

  • ERPの導入及び運用経験
  • 既存のSAPの運用経験
  • 財務、上流での業務経験

といったものが挙げられます。

またSAPが交付している資格は2023年で140種を超えており、レベルも三段階に分けられます。

SAPは導入企業の業態により取り扱うモジュールも異なり、コンサルタントは適切なモジュールを割り当てなければいけません。

その為、上流から把握する多くの知識体系が必要になり、試験の適正だけではなく実態の知見が求められます。

SE視点の知見、コンサルタント視点の知見、現場把握の視点、人材把握の視点、財務把握の視点。

これらを網羅することでSAPコンサルタントとしての質を高めていくことができます。

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いまをアルク編集部
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いまをアルクメディア編集部です。
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