布地の質感や動きをシミュレーション「FASHION TECH TOKYO」

デジタルコンテンツの企画・制作などを手がけるKINGBEATと、ソフトバンク傘下のリアライズ・モバイル・コミュニケーションズ(以下、リアライズ・モバイル)は、ファッションとテクノロジーを融合させ、表現の自由度を広げた“ファッションテック”サービス「FASHION TECH TOKYO」をスタートしたと発表しました。

KINGBEATは、多種多様なイベントの企画や制作、演出、運営までを一気通貫でサポートする企業。「MISS INTERNATIONAL QUEEN 2023」や「Rakuten GirlsAward 2022 AUTUMN/WINTER」といったファッションショーにも参入しており、ファッションという領域は得意分野の1つです。

また、リアライズ・モバイルは、モバイル・インターネットに関する情報提供サービス、及びコンサルティングなどを提供する会社。サービスの一環として、人やモノの動きを含めた空間全体を3Dデータ化することで、3D映像を生成できる技術「ボリュメトリックビデオ」が撮影可能な専用スタジオも運営しています。

この両社の協業で生まれた今回のプロジェクト。背景には、アパレル業界が抱えている課題があります。

この業界では、実店舗における顧客との接点と、VR・メタバースなどデジタルの世界における顧客接点とを共に意識しつつ、将来のあり方を見据えたNFTなどの新しい商品展開・マーケティングが求められています。同時に、提供する衣服を着たモデルやそれを拡散するインフルエンサーなどのコンテンツも、デジタルにフィットさせていかなければなりません。

現在の技術では、CGによる静止画像の制作は比較的容易ですが、布地の細かいしわや動きの繊細さ、デジタルアイテム独特の造形・テクスチャーなどを表現するのは困難です。そうした不得意な領域をフォローするために、メタバースなどにおける映像ではデフォルメされたアバターを使うなど、新しい世界観で商品開発・マーケティングを行う必要がありました。

KINGBEATとリアライズ・モバイルがコラボすることにより、それぞれが得意とする分野のノウハウが相乗効果を生み、前述のような課題が解消されます。そうした目的で立ち上げられたのがFASHION TECH TOKYOです。

FASHION TECH TOKYOでは、従来のデジタル世界における3DアバターやCG画像のクオリティを引き上げ、布地の質感や動きをシミュレーションして高い精度で表現でき、実店舗やECサイトで販売されている商品の質感を損なわずにデジタル化。モデルやインフルエンサーもメタバースで活用できるため、ブランドが持つ世界観はそのままに、デジタルでのプロモーションを行いつつ、NFT商品として販売することも可能。新しい消費体験をユーザーに提供できます。

また、このサービスを活かせば、デジタルの世界でもレベルの高いファッションショーを開催することが可能。リアライズ・モバイルによるボリュメトリックビデオは、視聴するのに高価なツールを必要とせず、一般的なスマートフォンなどで楽しめるためファンの裾野を広げることにも貢献します。

新たなファッションブランドの掘り起しや、コンテンツの創出に一役買ってくれそうなこのプロジェクト。運営側は今後の展開について「既存ブランドとのコラボレーションや、オリジナル作品の制作、若手クリエイターや学生の参加によるデジタルファッション・コンテストの開催など、FASHION TECH TOKYOをベースとしたファッションテック・ビジネスを推進していく」とコメントしています。

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投稿者プロフィール

大島 予章
大島 予章
ウェブコンテンツ業界20年。酸いも甘いも経験したと思った矢先、業界のさらなる巨大さと深さを知り日々挑戦する爆走社長です。趣味:筋トレ・ゲーム・株式投資。
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