家や建物の価値はどう決まる?地域要因と不動産価値の関係性

『家は人生最大の買い物』と言われるほど、不動産の購入は多くの人にとって重要な決断です。

しかし、同じ上物でも地域によって価値が大きく異なることはご存知でしょうか?

こちらの記事では、不動産の価値が地域によってどのように変化するのかを事例を交えながら説明します。

地方自治体の政策や都市計画がどのように不動産価格に影響を及ぼすのか、そしてそれが私たちの生活や投資判断にどのように反映されるのかを詳しく解説していきます。

あなたの家や将来の不動産投資計画に役立つ知識を、具体的な事例とともにご紹介します。

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目次

地域別自治体政策の影響 不動産価格への直接的な影響

不動産価格における地域別自治体政策の影響は、多岐にわたります。

一般的に、不動産価格はその地域の経済活動、住民の生活の質、さらには将来の開発計画などに大きく左右されます。

自治体が取り組む様々な政策は、これらの要素に深く関わっており、結果的に不動産市場に大きな影響を与えるのです。

例えば、自治体が積極的に進める商業施設の開発や公共交通機関の整備は、その地域のアクセスを便利にしたり単純な魅力を高めます。

これは、住宅需要の増加につながり、結果として土地や不動産の価格を押し上げることになります。

一方で、環境保護を重視した政策や歴史的建造物の保護に力を入れることも、住む場所としての価値を高め、不動産価格にプラスの影響をもたらします。

また、教育施設や医療施設の整備、公園やレクリエーション施設の充実など、住民の生活の質を向上させるような政策も重要です。

これらの施設が充実している地域は、家族連れや高齢者など幅広い層にとって魅力的な住まいの場となり、不動産市場においても高い評価を受ける傾向があります。

例として、東京都心部の再開発プロジェクトを見ていきましょう。

渋谷区では東急グループが主導する「100年に1度の再開発」で、2023年11月に39階建ての巨大オフィスビルがオープン。渋谷の再開発は、グーグルの日本本社を含む大手企業の誘致に成功し、「若者の街」から「世界のコンテンツ産業の中心地」への変貌を遂げています​。

​​虎の門周辺では森ビルが地元住民と協力して開発を進めている虎ノ門・麻布台地区では、住宅・オフィス複合ビルの建設やインターナショナルスクール、世界各国の食文化に応じたマーケットの開設など、外国人のニーズに応える開発が進んでいます​

また、地方自治体の例として、福岡市の動きを見てみましょう。福岡市は、IT企業やスタートアップへの支援を積極的に行い、若い世代や技術者の流入を促しています。これにより、市内の活気が増し、新たな住宅需要が生まれています。

福岡市のような地方都市が積極的な産業支援政策を取ることで、地域の経済が活性化し、それが不動産市場に良い影響を及ぼす典型例と言えるでしょう。

このように、自治体の政策は直接的にも間接的にも不動産価格に影響を与えます。都市計画や地域開発、産業支援など、様々な政策が組み合わさることで、不動産市場の動向は形成されていくのです。不動産投資を考える際には、これらの地域要因を見極めることが非常に重要と言えます。

住宅地域と商業地域の違い 地価と生活環境の相互作用

不動産価格を左右する重要な要素の一つに、その土地が「住宅地域」と「商業地域」のどちらに分類されるかがあります。

住宅地域と商業地域では、地価の傾向、住環境、そして利便性が大きく異なり、これらが不動産の魅力と価値に直結しています。

住宅地域は、主に居住を目的としたエリアで、静かで落ち着いた環境が求められます。

ここでは、住民の生活の質を高めるために、公園、学校、病院といった公共施設や、生活に必要なスーパーマーケット、ドラッグストアなどの商業施設が整備されています。

一方で、商業地域は、オフィスビル、ショッピングセンター、飲食店などが集まる活気のあるエリアです。ここではアクセスの良さや、多様なサービスが提供されることが重視され、その結果、地価が高騰することも珍しくありません。流動性も非常に高いです。

住宅地域の不動産価格は、静穏性や生活の利便性によって左右されます。一方、商業地域の不動産価格は、その立地がもたらすビジネスチャンスに影響を受けやすいです。たとえば、オフィスや店舗の需要が高い商業地域では、土地や建物の価値が高くなりがちです。

さらに、近年では住宅地域と商業地域の境界が曖昧になりつつあります。商業地域に住宅が混在することで、ライフスタイルの多様化を促し、新たな価値を生み出しています。このような複合的な地域では、住む人々にとっての快適さと、ビジネスの機会の両方が考慮されるため、不動産価格はその独特の特性に基づいて形成されます。

地域差が明確にある場合は、駐車場やレンタル倉庫などのサービスも性格を変えます。

たとえば、商業地域に駐車場を新設する場合などは、時間区切りの細かいコインパーキングを設置することが検討されます。

工業地域の土地価格の特徴

不動産市場において、工業地域の土地価格は独自の特徴を持っています。

工業地域は主に工場や倉庫、物流施設などの産業用途に使用されるエリアで、その土地の価値は産業活動の潜在能力に大きく左右されます。

工業地域の最大の特徴は、その広大な敷地面積と産業用途に特化した設備の存在です。

これにより、大規模な製造業や物流業のニーズに応えることが可能となります。また、工業地域は一般的に人口密集地から離れた位置に設定されることが多く、このため、住宅地域や商業地域と比べて相対的に土地価格が低めに設定される傾向があります。

しかし、地域の産業構造や経済状況によっては、工業地域の土地価格が急速に上昇することもあります。

例えば、物流業の発展や新しい産業の導入によって、それまで低迷していた地域が再び注目されることがあります。このような状況では、土地価格は需要と供給のバランスに応じて変動し、投資家や開発者に新たな機会を提供します。

一例としてTSMC(台湾積体電路製造)の日本での製造工場建設は、地域の地価に大きな影響を及ぼしています。

  1. 基準地価の上昇: 国土交通省によると、2023年の基準地価で九州・沖縄地域は全用途平均で1.6%の上昇があり、これは6年連続のプラスとなっています。TSMCの熊本進出や西九州新幹線の開業などの大型投資の好影響が地価上昇に寄与していることが浮き彫りになっています​​。
  2. 地価上昇率日本一: TSMCの工場建設により、特に大津町の地価上昇率が全国一位になるなど、顕著な影響が報告されています。この地域はTSMCの進出により「地価急上昇」の状況になっており、地元の商業地域では地価が大きく跳ね上がっているようです​​。
  3. 家賃相場の上昇: 不動産会社の情報によると、TSMCの工場周辺の家賃相場は過去2年間で約20%上昇しています。これはTSMCの進出に伴う地価の上昇が家賃にも影響を与えていることを示しています。

地価の変動は上物の価値に直結していきます。手持ちの土地をどのように扱うか、この土地は今どんな地域性に所属しているかを是非考えながら活用方法を検討して下さい。

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