建物解体を始める前に知っておきたい！解体に関する法規制とその影響

2024年2月7日

あなたが土地のオーナーで、古い建物を解体しようと考えているなら、解体工事や解体を頼む為のプロセスは少し複雑に思えるかもしれません。

特に、法規制については、どこから手を付けていいのか分からないと感じるかもしれませんね。こちらの記事では、解体工事に関わる法規制や直面する出来事を、簡単にそしてわかりやすく説明していきます。

解体工事とは、単に建物を壊すこと以上の意味を持ちます。

適切な手順を守ることで、安全な工期を確保し、将来的な問題を避けることができるようになります。

特に法規制に注意を払うことは、あなたの財産を守り、近隣住民との良好な関係を維持する上でも重要です。この記事を通じて、土地の解体工事がスムーズに進むよう、解体工事に関するあなたの不安を少しでも和らげることができれば幸いです。

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解体工事に関する法規制の基本

解体工事には、さまざまな法規制が関わってきます。ここでは、特に重要な3つの法律の詳細を見ていきましょう。

建築基準法：
- この法律は、建物の構造や安全性に関する基準を定めています。
- 解体工事では、建物が周囲に影響を与えず安全に取り壊されるよう、特定の手順を踏むことが求められます。
廃棄物処理法：
- 解体によって生じる廃材の処理方法を定めています。
- 廃材は、環境に害を及ぼさない方法で処理される必要があり、その責任は解体業者にあります。
労働安全衛生法：
- 工事現場の安全基準を定め、作業員の健康と安全を守ることを目的としています。
- 事故を防ぐための措置や、適切な作業服装、機械の使用方法などが規定されています。

これらの内容は基本的に解体事業者が守るべきものですが、土地オーナー側も知っておくべき項目です。

解体事業者を選ぶ際の説明に不足を感じたらこれらの事項を直接質問できるように、手元にメモを取っておきましょう。

関係者の責任と手続き

次に、解体に関わる人物の責任と手続きをおさらいしましょう。すべてを事業者任せにすることはなかなか難しいため「こういった項目がある」ことは意識しておきましょう。

土地オーナーの責任

業者選定：土地オーナーは、信頼できる解体業者を選ぶ責任があります。業者は法規制を遵守し、適切な技術と経験を持っている必要があります。
契約内容の確認：解体工事の契約をする際、土地オーナーは契約内容をしっかり理解し、適切な条件が盛り込まれているかを確認する責任があります。
近隣への配慮：工事による騒音やほこりなど、近隣住民への影響を最小限に抑えるための措置を講じることも土地オーナーの責任です。

業者選定に関しては業者のページだけでなく所在地や口コミも確認できるとベターです。普段は触れる機会の少ない情報ですが、業者により得意不得意や距離などの影響による作業日程も異なります。

契約内容に関しては基本的に業者側のフォーマットで用意されるため、隅から隅まで目を通しわからないところは素直に問い合わせる必要があります。

また、近隣十人への直接の配慮などもオーナーに求められる内容です。あいさつ回りや注意書き、など対応できる処理は大きくなくてもいいので、ご近所とのお付き合いの弊害にならないように事前に通知を入れましょう。

解体業者の責任

安全な作業の実施：解体業者は、建築基準法や労働安全衛生法に準拠した安全な作業を行う責任があります。
廃材の適切な処理：解体工事から出る廃材は、廃棄物処理法に基づき適切に処理される必要があります。これは解体業者が責任を持って行うべきです。
法規制の遵守：解体業者は、工事に関連するすべての法規制を遵守する責任があります。これには環境保護や安全管理も含まれます。

土地オーナー側からは解体業者がこれらの内容を適切に行ってくれるか、どこまで保証をしてくれるかなど精査する必要があります。

行われるべき手続き

許可の取得：一部の解体工事では、地方自治体の許可が必要になることがあります。この手続きは通常、解体業者が行いますが、土地オーナーもプロセスを理解しておくべきです。
契約書の作成：契約書は土地オーナーと解体業者との間で交わされます。契約内容には、工事の範囲、費用、スケジュールなどが含まれます。
工事の監督：解体工事が進行する間、業者は工事の安全性を保証し、定期的に土地オーナーに進捗を報告することが一般的です。

許可や通知が必要なところには以下のようなものがあります。

地方自治体
道路を管轄する警察
電気やガス、通信事業者

このほか先に挙げたような近隣などの関係者への通達があります。

さらにアスベスト対象の家屋は「特定粉じん排出等作業の実施」という特別な届け出があります。こちらも地方自治体宛の通知です。

公的な手続きは通常解体事業者の仕事になりますが、オーナーと事業者どちらがやることになっているかは慎重に確認しましょう。

関連記事：アスベストとは解体時に出る物質について知ろう→

解体に関係する罰則事例と想定ケース

こちらで実際に問題になった罰則事例とそのもととなる想定ケースについて確認してきましょう。

大きなものを解体するということは、大きなごみや粉じんが出るということで非常に多くのことに関係しているのです。

■罰則が実際に行われた事例

アスベスト処理違反：アスベストを含む建物の解体作業で適切な処理が行われなかった場合、施行業者や発注者は法的責任を問われることがあります。例えば、工事前の「工事計画書」を提出せずに解体工事を行った場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。さらに、アスベスト除去方法において虚偽の報告を行った場合は、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられることもあります。
産業廃棄物の不法投棄：解体工事で発生した産業廃棄物を不法投棄すると、重大な罰則が課せられます。例えば、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」（廃棄物処理法）では、不法に廃棄物を投棄する行為に対して5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が課せられることがあります。
不法投棄の具体的な事例：
- 新潟県内で、解体工事に伴って石膏ボード等の廃棄物54トンを不法投棄した疑いで10人が検挙され、うち5人が逮捕されました。
- 山梨県道志村で木造建物の解体により発生した産業廃棄物約1.5トンが不法投棄された事件では、懲役1年（執行猶予3年）と罰金50万円の刑罰が確定しました。
- 千葉県茂原市のガソリンスタンド解体時に発生したコンクリート片を他人の土地に捨てたとして、廃棄物処理法違反容疑で2名が逮捕されました。

■主な想定ケース

工事計画書の届け出を怠った場合：工事計画書を提出せずに解体工事を行った場合、作業基準適合命令違反として6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課される可能性があります。
虚偽の報告を行った場合：アスベスト除去方法において虚偽の報告を行った場合、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
飛散防止措置や事前調査の不備：アスベストが使用されている建物の解体工事で飛散防止対策を行わずに作業を進めた場合、関連する建設会社や施工会社が書類送検される事例があります。

不法投棄とアスベストに関するものが特に多いですが、通常の手続き不備でも罰則を下される可能性があります。

解体業者選びのポイント

解体工事を成功させるためには、適切な解体業者を選ぶことが非常に重要です。以下は、信頼できる業者を見極めるための主なポイントです。

経験と実績：実績のある業者を選ぶことが重要です。施工事例だけではなく、どのような取り組み方をしているか
法規制の遵守：業者が建築基準法や廃棄物処理法などの法規制を遵守しているか確認してください。これは安全な工事を保証するために不可欠です。
見積もりの透明性：見積もりは明確で詳細なものであるべきです。不明瞭な費用や不足している項目がないか確認しましょう。自分の分からない項目などは常に疑問を持つようにします。また、相見積もりも重要です。複数業者から選択しましょう。
口コミや評判：他の土地オーナーからの口コミや評判も参考にしてください。良い評判は信頼性の高い指標となります。経験者からの意見は参考になるでしょう。
コミュニケーション能力：業者があなたの要望をしっかりと理解し、適切に対応できるかどうかも重要です。コミュニケーションがスムーズかどうか営業の方がこちらの欲しい情報をくれるかについて考えます。

これらのポイントを参考にしながら、あなたのニーズに合った解体業者を見つけることができれば、安全で効率的な解体工事を行うことができます。適切な業者選びは、スムーズな解体工事への第一歩です。

関連記事ではこれらに加えて一般的な解体費用やスケジュールなども掲載しています。

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